スポンサーサイト

--/--/--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[↑]

・あの子の巣穴

2012/01/14

 魔界修行に来たほかの天使にとってアルティナちゃんってどうなのかなあとかホームシック的なものあるのかなあとかうたうだ考えてたら長くなった!

「あら、ご同胞じゃない。あなたもここに勤めているの?」
「は、はい、そうですっ、上級天使様!」
「ふふ、お互い魔界に武者修行中なのだから、そんなに畏まらなくてもいいわよ」
「は、はい、ありがとうございます……!
あっ……」
ばさばさばさ……
「……ごめんなさいね」
「い、いえ、上級天使様はお気になさらないでくださいっ!」
「そんなに身構えなくてもいいと……。もう、私も手伝うわ」
「す、すみません……」
「いいのよ。……あなた、これ全部あなた一人が裁くの?」
「いえ、ほかにも何人か同僚の悪魔の方々と一緒に……」
「そう、それはよかった。
……ふふ。天使の身の上で悪魔と一緒に働くどころか、魔界の政務に関わるなんて、思ってもみなかったでしょう」
「……はい。あの、ここの悪魔の方々は別に天使に対して敵愾心が薄いとか、そう言うことではないんですよね?」
「そうね。実際、天使を雇っている政党なんてこの魔界じゃここくらいらしいわ」
「ですよね……。党本部ではそうでもないのに、休みの日にちょっと外出したら、色んなところから視線を感じてしまって……」
「あはは、私もそれ身覚えがあるわ」
「やっぱりそうなんですか?
はあ、わたしったらどうして魔界に勤めたりなんかしちゃったのかなあ……」
「各魔界を転々となさっておられる殉道の天使さまが武者修行にうってつけの場があると天界にご報告なさったからね。
天使長さまもいらっしゃるし、天使長さまが入党なさる以前よりも天使がいたようだし、数多ある魔界の中では比較的住み良いほうだと思うけれど」
「そうなんですか……?」
「ええ。あなた、聞いたことはない?
元人間で、死後魂になって地球を彷徨っていたけれど天使長さまにその魂の清さを評価され、天使に転生したって言う……」
「ああ……噂を小耳に挟んだことは。
凄いですよね、たったの四百年で天使見習いから下級天使になるなんて……」
「あの天使長さまでさえ見習い期間は長かったのにね。
堕天してから天使に戻って、更に天使長になるまでの昇格は異常なスピードだったけれど……」
「その、元人間の天使も、天界に戻れば昇格しちゃうんでしょうか?」
「さあ、どうなのかしら?
大天使さまの覚えもめでたい天使長さまに目を留められた挙げ句、その天使長さまの部下としてのポジションを早々に確保して。
おまけにこの魔界に単身降り立った理由は、天使長さまから承った極秘任務を遂行するためだとか……」
「それは任務達成の暁には、上級は狙えますね……」
「プラマイゼロで中級かもしれないけれど、それでも元人間って辺りを考えれば異常な昇給速度よね。
多分天界に戻ればとんとん拍子で昇給するでしょう」
「プラマイゼロ……?
何か、あったんですか?」
「詳しくは知らないけれど、彼女の任務の一環がほかの天使長さま方にとってあまり良くない結果を生み出したらしくて……。
けれど、結局執行権は大天使さまが持っていらっしゃるんだもの。天使長さま直属の部下を、あの方が裁くはずがないでしょう?」
「厳しくて堕天使に転生、くらいでしょうか」
「そうそう、花や虫に転生とかではないでしょう。
その堕天も、本人の頑張り次第ですぐに天使に戻れるし。
やっぱりコネってどこの世界でも大切よね」
「あはは……」
「ま、彼女、あまり天界に帰っていないようだし、もうそろそろあっちが恋しくなるんじゃないのかしら?」
「任務中ではないんですか?」
「天使長さまが近くにおられるんだもの。切り上げ時は要相談、と言ったところでしょう」
「なるほど、言われてみればそうですね……。
……いいなあ、わたしも早くあっちに帰りたい……」
「………………」


「……天使長、少し質問があるのだが」
「はい?」
「お前がアルティナに与えた任務について、その、見解を聞きたい。
もう達成されていると受け止めているのか、それとも……」
「うーん、『徴収』についてはアルティナちゃんが自分で計算して出した額ですしねえ……。
まあグレートフロンガーはもう今までのお金で作れちゃったし、地球の危機も救っちゃいましたし……あ、けど次は戦艦とかいいかなあ……」
「ええい、もう少し真剣に考えろ!
お前にとってあいつは任務を達成したのか、それともまだ途中なのか!?」
「そんな急に怒らなくてもいいじゃないですかー……。
大体、ヴァルバトーゼさんはそれを聞いてどうするつもりなんです?」
「……い、いや……別に……。
まあその。あいつが、実は天界に帰りたがっているようであれば、今の環境は悪いかもしれんからな……」
「うう~ん、どうなんでしょう。
今のところ本人からはそんな発言一度も聞いてませんし……」
「……そ、そうか」
「アルティナちゃんは我慢強い子ですからねえ。
この魔界に単独で潜入することになったときも、どれだけ身の危険を感じようが任務を達成するまで天界には帰らないって公言してましたし」
「…………そ、そうか」
「けど、今まで一度も帰ってないのはちょっと可哀想な気もしますねえ。
じゃあ、今度あの子に会ったときにでも……」
「いや待て天使長!!」
「はい?」
「……その、あれだ。
お前が天界に帰ろうと言えば、お前に恩義を感じているあいつのことだ。そう無碍には断れまい。だからなるべく、本人の意思を尊重するかたちでだな……」
「それは当然ですけど、何を今更……って、ああ。なるほどぉ」
「なんだその顔は」
「いえいえいえ。
むふふ~、そう言いたいならきちんと言ってくださいよヴァルバトーゼさんったら~」
「な、なんの話だっ!?」
「あら、言っていいんですか?」
「な、なんの話かわからぬものに言っていいも悪いも……。
いや、待て、やっぱり止めろ言うな!」
「……はいはい、わかりましたわかってます。悪魔さんはそう言う方たちでしたね~。
安心してください。アルティナちゃんから帰りたいなんて言って来ない限りは、わたしもあの子をあなたから引き剥がすつもりなんてありませんから」
「……別に俺は。引き剥がすなど……」
「じゃあ連れて帰っていいんですか?」
「それは止めろ」
「どうしてです?」
「……あ、あいつとはまだ果たされていない約束がある。
あの約束を果たすまで、俺はあいつを天界に逃がすような下手を打ちたくはないのだ。だからこそ、こうして確認を……」
「そんな面倒なことしなくたって、あの子はあなたが傍にいろと言えばきちんと返事をする子だと思いますよ~?」
「……誰も、そのようなこと」
「望んでないならそれはそれでアルティナちゃんが可哀想ですし」
「…………」
「ここはあの子にとって住み慣れた天界ではなくて、魔界なんですよ?
悪魔さんたちに愛があるとわたしは自信を持って言えますけど、あの子はそう言えるだけの体験があるのか曖昧なんですもの」
「…………」
「あの子はいい子だから、この魔界でもお友だちを作れたでしょうし、そんなにきつく当たる人は少ないと思います。
けど、同じくらいあの子は遠慮しがちな優しい子だから、きっと誰にも弱音を吐かない。
だから、この魔界にもあの子が甘えられるひとが、どんなあの子でも受け入れてくれるひとが必要なんです」
「……何故、俺にそれを言う」
「むふ~。わたしは策士なんですよ~?
一番そうしてくれる確率が高いひとに発破かけたほうが効果あるからに決まってるじゃないですか~」
「……自分で自分を策士と言う輩ほど信じられんものはないな」
「なんとでも言ってください。
わたしはあの子をこの魔界で受け入れてくれるひとができればそれでいいんですっ。
じゃ、わたしは用があるのでこの辺で~」
「…………。
…………はん。この魔界、など限定せずとも。
……どんな世界のどんな輩よりも、くらい……に……」
「に?
なによヴァルっちったら~?」
「なんデスか~?
何を言おうとしてたデス~?」
「何もないわ!!」
関連記事
スポンサーサイト
[↑]
Copyright (c) 掃き溜め All Rights Reserved.

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。