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その後

2011/07/06

「わたくしはこれから、ただのアルティナになります。苗字なしのアルティナ。ええそう、ただの一般市民。いずれ看護師になります。もう教会にも行ってきました。明日からあちらで見習いとして勉強をするの」

「お父さまはわたくしが本気だってことをわかっておられないんだもの。だからこうして、わたくし一人の力でも、できるってことを、証明します」

「診療所よ。怪我をした人や、居場所がない人をみてあげるところ。そう言う場所をつくるんだって、わたくし、決めました。もちろん、自分だけの力でよ」

「それで、そこはお金を払わなくてすむようにします。だから色んな人が来るはずだわ。そうしてわたくし、たくさんの人とお知り合いになるの。お友だちになるの」

「多分、恋もします。素敵なひとと、わたくしの診療所で、夜の湖を見ながらお話しをしたりするの」

「そうなったら、もうそれ以上幸せなことなんかないのでしょうね!」

◇◆◇

 『暴君』が血を吸わなくなってどれほどのときが過ぎただろう。以降の彼は大きく変わった。そうとも、たった一人の娘に変えられた。彼の心が約束を破った痛みと追憶から次第に現実に戻っていくと、静かな、飽くなき戦いの日々が幕を開けた。
 戦う相手は今まで戦った宿敵と認めし古強者ではない。いまだ名高き『暴君』を討ち取ろうと無謀にも挑んでくる無知蒙昧な者どもでさえない。悪魔狩りをしようと群れてへっぴり腰で立ち向かってくる人間どもなぞでは当然ある訳もなく。ある種、吸血鬼にとって全く予想だにしていなかったもの。従僕である人狼と、本能と、過去の浅ましき傲慢さであった。
 吸血鬼が血を吸わなくなった、つまり娘との約束を守り続けると知って人狼は愕然としたのちに奮闘を始めた。最初こそは彼の宣言が一時の気の迷い、もしくは一人の人間への弔いだと受け止めていたのだろう。左様ですかと暗い顔をして見せ、大人しく引き下がっていたものの、それが一月二月と続けばさすがに危機感を覚えてしつこさも増す。その上で、彼は同じことを告げた。胸を張り、そのときどきの言葉は違えど、強い意思と娘への想いは同じく変わらぬものを籠めて。
「俺はもう約束を破らぬと誓ったのだ。故に、人の血は吸わぬ」
 それではいけませんと、人狼は首を横に振る。何がいけないと吸血鬼が問えば、魔力を失うと、血を吸わないなど吸血鬼の矜持に関わると、『暴君』としての地位と実力が揺らぐだと。それらは確かに大切だ。悪魔である身として、自分の力が衰えるのはやはり苦痛ではある。だがそれらよりも前提の、悪魔としてあるべき土台の問題として、大切なものがあったのだと彼はようやくあの痛みから得られた。
 自分の信念を貫くこと。誇り高く、約束を違えずに生きること。それこそが、もとからある力に甘えた誇りではなく、個として一から築く本当の矜持だ。そう、彼は学んだ。
 今際の際で娘が告げた一言が、吸血鬼の痛み続けた胸に光を宿す。無実の罪で殺された臨終を迎えても尚、気高くあった娘の言葉が、吸血鬼に自らもそうあれと思わせる。『暴君』の名声に驕っていた自分を怖がらなかった娘が、そんな儚い命でさえも救えなかった自分の無力さが、彼をより高みにへと導いてくれる。
 そんな吸血鬼の心情を、人狼は理解し得ないらしい。おかしな話だ。この従僕もまた自分に付き従うことで、寿命を縮めている可能性があるのに。命を削ってさえも自分の信念に従うことなど、お前ももうしているではないかと問いかけるのだがこれに僕は。
「ですがこれでは、自滅と何ら変わりはありません、閣下……!」
 苛立たしげに、告げてくる。自分が強く想うものに生き長らえよと願うのは吸血鬼もまた経験があるし、主従は互いにそう思っていることだろう。だが『暴君』の肩書きは、約束を破ってようやく得られる魔力は、今の彼にとって誇りと同価値ではない。
 揺らがぬ吸血鬼に、人狼はいつものように後悔の言葉ばかりを口にして、どうにか血を飲ませようとしてくる。ときに欺き、ときに挑発し、ときに自らに爪を向けかけてでさえも。危うく口にしかけたときもあったが、何とか彼は吐き出せた。胃が引っくり返るほど嘔吐など、『暴君』として飽きるほど人の生き血を啜っていた自分ではなかった経験だ。だがそうしてまで約束を貫き通したことに、荒々しい勝利の手応えと自信を感じもした。
 閑話休題。自分の従者が自分の誇りを善意によって穢そうとしてくると言うのは、吸血鬼にとってなかなかに気が引き締まる経験だった。まったくもって油断ならない、忌々しい。だがその気持ちは嬉しく思う。だからだろうか、彼は以前より自分の中での人狼への信頼が増したように思えた。普通は逆であろうに増したのだ。その上で芽生えた油断ならない好敵手を見つけたような、秘めやかな緊張感がまた心地良かった。
 吸血鬼が血を吸わなくなっても、『暴君』討ち取ったりを狙う無謀な輩は少なくない。それをどうにかあしらっても、魔力は衰えていく一方なのだから自然、従僕と協力することも多い。命の危機を感じることも当然増えた。それだけに、死地を潜り抜けたあの充実感は素晴らしかった。生きるとは何と面白きことかと、心の底から思えてしまう。――そう、あの娘も過酷な日々の中で感じていたのだろうに。
 本能は、また従僕とは違った意味でなかなかに強敵である。人狼の誘いに対する最大の潤滑油だ。そのときどきの精神次第で迷いもするし、ときおり無性に誰かの喉笛を食い千切りたくなることも、正直に言えばままある。
 飢えと乾きは代用品を色々と試してみたが、どうにも今まで体に馴染むものはなかった。さすがに魔力を失ってしまったため体が退化を始めると、いかな吸血鬼でも危機感を持って、人間界で言うところの家畜に当たるものの屍肉を食したりしたのだが、どれもこれも口に入れたそばから後悔が込み上げて来る。それでもなんとか大きな後悔を、自壊しかねないほどの強大な後悔を招かないために無理をする、その苦しみと言ったら。吸血ばかりに甘えていた自分が、その上で『暴君』よ『恐怖王』よと一目置かれていた自分が、いかに恵まれていたかを思い知らされる。だが自らを戒める約束を、破るつもりなど彼には毛頭なかった。
 そうして本能は往々にして協力者を見繕ってくる。たった一人の人間でさえ怖がらせられないくせに偉そうな過去の自分を引き合いに出して、暴力でもって万能であったような顔をしていた過去を鮮やかに魅せ、吸血鬼が発掘した矜持を彼奴らはへし折ろうとする。そんなことはさせてなるものか。あの約束を守らねば、そうしてあの約束を守り続ける自分を誇らねば、娘の死は無意味になる。それを恐れた彼は、圧倒的に不利な状況であっても必死でもがき続ける。
 自分の気持ちと闘うのは、どのような急襲よりも油断ならない。疲れで気が緩んだその瞬間に、飢えを感じて人型の悪魔を見た瞬間に、手首を捧げてくる従僕を見た瞬間に、吸血鬼の心にするりと入り込んで誘ってくる、その執念深さと来たら。この誇りに関して強敵である人狼でさえ可愛く見えるほど。
 今、吸血鬼の眼前にいる人狼は、眉間に皺を刻んでなにやら深く考え込んでいるらしい。なにやら、などとは無責任な言い回しか。血を吸わない主のことを案じているのだ。
「……存外、感情が表に出やすいな、フェンリッヒ。以前はよくわからなかったが、それだけお前の顔などろくに見ていなかったと言うことか?」
 他の悪魔から見て転落の日々――吸血鬼にとっては過酷であるが相応に誇り高き闘争の日々――が火蓋を切ってから、彼から人狼に話しかけることも多くなった。互いの沈黙なぞもう慣れきっているのだが、ときにこうして言葉をかけてやることを彼は楽しんでいたし、相手の気遣いはすまなく感じながらもやはり嬉しく受け止めていた。
「は、……ああ、いえ……」
 深く物思いに沈んでいたようだ。浮かない顔で言葉を濁す人狼はこのようなとき、大抵はあの娘が亡くなったときのことを考えているのだと知っている。ようやくその強い痛みを静観し、深い傷跡からなんとか膿が治まってきたような状態の吸血鬼にとっては、多少に羨ましい話だが。
「……我らがこうなったのもあの娘のせいです。わたくしにとっては、無意味と知りながらも悔やむばかりで」
「ああ、全くだ。だが、過去を悔いるのは無意味だぞフェンリッヒ」
 自分も過去を引きずりながらあっさり言い切り、やはり過去を持ち出す人狼に告げたのち、吸血鬼は昂然と胸を張る。
「俺はこの事態でさえも己を貫けることを誇らしく思う。……血を吸わねばそのまま飢え狂い、苦しんだ挙句に浅ましくお前の喉でも食い千切り、後悔のまま息絶えるのではないかと思っていたが、なかなかどうしてどちらも頑丈だ」
 いや、魔力を失った退化はもう始まっているのだから心はともかく体のほうは限界なのだろう。それでも今の吸血鬼には意思がある。娘との約束を守らんとする強靭な信念が、悪魔としての誇りを思い出したが故の、それを貫き通す自信と喜びが。
「俺は今、生きることの苦しみと、楽しさを味わっている。やせ我慢などではなく、心の底からこれは愉しい。『暴君』の名に甘えていたときとは、比べものにならん充実感だ」
 笑う吸血鬼の心は事実凪いでいながら、奇妙に熱く高ぶっていた。これが生の実感。これが誇り高く生きると言うこと。『暴君』と呼ばれていただけの自分には、感じもしなかった自分の生命力が、今は心底頼もしい。
 そんな顔を見て、いくらか人狼の気も紛れたか彼の熱さに引きずられたか。薄暗い顔が仄かな呆れの笑みを滲ませる。
「……やせ我慢などと口になさる時点で、やせ我慢しておられるのではないですか」
「違う」
 断固と告げるその心情は子どもめいてむきになった部分はあると、吸血鬼は微かに自覚していたがそれでもそんな自分を飲み込む。やせ我慢など麻痺するほどにしているからだ。彼は確かに笑みを刻むと、自分の手のひらを見つめてその奥に潜む自らの血潮にこそ命があると実感し、静かにゆっくりと拳をつくった。
「俺は生きる。どれほど困難な道に瀕しても、屈辱の敗北を味わっても、誇り高く己を貫き通して生きてやる」
「……は」
 そうして末路があの娘と同じような、はたから見れば惨めで不幸なものだとしても。それでも自分はあの娘と同じように、気高くあった自分に後悔せず死んでいけるだろうと彼は信じる。――いや、後悔なら一つ、消えないものがあるけれど。ああそれでは、あの娘と同じになってしまうのか。
 不意に陰る吸血鬼の内面を読んでいるのか無視しているのか。人狼はすぐさまいつもの慎み深い面構えになると、大仰な仕草で自分の片胸に手を添える。
「約束の内容はさて置くとして、その誇り高き志には、このフェンリッヒ心底感服致し、あなた様への忠誠心が増すばかりです。閣下のように我が身を削ってでも気高くあられる悪魔は、向こう一万年は現れますまい」
「どれだけ俺を誉めようと、血は吸わぬぞ、フェンリッヒ」
 昨今の特にしつこい言葉を思い出しながら吸血鬼が多少くすぐったさを感じながら告げると、人狼はおやと小さくも高い声を漏らした。
「先回りされてしまわれましたか。流石は閣下」
「いかな俺でも流石にわかる」
 それだけ吸血鬼を相手に血を吸え血を吸えと小うるさい人狼は、主の否定の言葉さえも軽やかに受け入れ、それではと話を続けたがった。
「では今日は血を吸うようにお願いするのは、これを最後と致しましょう。ですが、代わりに一つ、わたくしの問いにお答えいただきたく」
「何だ」
 質問一つで今日だけでも従僕の勧誘から逃れられるのならばお安い御用と受け入れる気でいる吸血鬼に、人狼はいつも通り穏やかな口調でありながらも顔から笑みを打ち消して訊ねる。
「……閣下があの日、何事もなく娘と会ったのでしたら。どのようにして恐怖に突き落とす気でおられたのかを、お聞かせ願いたいのです」
 何そんなことかと吸血鬼は息を吐きつつ述べた。魔界から人間界に行くまでで、いやもっと以前、あの迷宮から出るまでの間、得られた情報をもとにあらゆる可能性を考えて、これぞと思うものを見出した自分の歓喜を思い出しながら。
「あの娘を魔界へと連れ攫い、二度と人間界には戻さんと言ってやれば……あの娘の顔は、見事に青ざめるだろうと思っていた」
「……左様で、ございますか」
 苦み走った人狼の心中はどうあったか。当然吸血鬼は知ることもないけれど、それでも言い放った自分に後から疑問がふと浮かび上がる。
 娘を攫ったあと、それから思惑通り血を吸ったあと、自分はどうする気だったのだろうと。これで約束は果たしたと人間界に帰してやるのか、手間をかけさせられた分、躯となるまで血を啜ってやるのか。それとも、――それとも?

◇◆◇

 淡々とシャベルで棺に土を被せると空気を抜いて、次は墓石を持ってこさせる。大の男複数人の手によって目的地へと移動する波打つ長髪の乙女と百合の花が彫られた墓石は、有料墓地にその身を埋められるとは言え随分と立派なもので、見物していた女性はおやまあと声を上げた。
 さっきから見ていた限りでは棺の色も白くて立派なものだったし、故人はお姫様のような待遇だが葬式を行うにしては素っ気ない。何か訳ありなのだろうかと墓石を移動させる男たちの誰かに話を聞こうとしたのだが、どうにも身なりからして雇われただけの身の上のものが多いらしく、ようやく一人掴まえられたのは墓石も移動し終わったあと。真新しい土の盛り上がりに長々祈りを捧げていた、身なりの良い人物の袖を引っ張ると、女性は遠慮もなく尋ねた。
「あんた、この人とどう言う関係があんのさ? 恋人かい、それとも娘かい?」
「……いえ、わたくしは、代理で参っただけのことで。直接は関係、ありません……」
 女性の勢いに戸惑っていたらしい壮年の男性は、そう答えるものの表情は軽く沈んだままだ。まあその通りと言えばその通り。墓場で浮かれた顔を見せているなんて、今ではこの罰当たりな女性だけだろう。
「直接ってどう言うことだい。……て、これ、おかしくないか。どこにも名前がありゃしないじゃないか」
「はあ、まあ、その通りで……」
 新品同様の、墓石でなければ大層な芸術品めいた墓石には、しかし墓標の部分は綺麗につるりとしたままで、これでは本当に誰の墓かもわかりはしない。ますます何か事情がありそうだと女性は内心舌舐めずりすると、男性の腕に自前の胸を押し付けた。
「教えてくんなさいよ。どうせ死人の話なんだ、誰も傷付きゃしないだろう?」
「……ま、まあ、そう、なのですが……」
 しかしそんな色気が通じるほどに男性は肥えていない。それどころか女性に強く抱きしめられれば骨まで折れてしまいそうなほどの体型だから、これは無意味と知った女性は舌打ちしてから身を離す。これでは脅迫でしかないと、分別できるくらいに頭は冴えている。男性のほうもそう思っていたようだがこちらは受け取り方が違うらしく、解放されるとこちらはほうと安堵の息をついてからようよう話し始めた。
「……実は、ですね。今日この土の下で眠られておられる方は、大旦那様……前の領主さまのお嬢様でして」
「へえ、お嬢さま!」
 では本当にお姫様と言うのは間違っていなかった訳だ。だが領主さまの父上さまの娘御ともなればもうとっくにどこぞへ輿入れされているだろうに、どうしてここで、しかも下々の墓地なんかに埋めるのだと訊ねると、従者らしい男性はやはり暗い顔ではあ、と一声。
「この方は……もう随分と前に亡くなられていたのですが。大旦那様がお亡くなりになった際、こちらに移すようにと遺言がありまして」
「なんでなのさ。貴族様はご家族のお墓で一緒に眠ればよろしいじゃないか」
「……いえ、実はですね。このお方は、その、お城を、飛び出されまして……」
 いかに好奇心旺盛な女性でもその言葉には目を見張る。それでも家出、と大声で訊ねたいのを、この吹けば飛ぶような男性の前で言わなかったのは彼女にとって一生に一度あるかないかの幸運だ。まあそうできた理由は、それをわめいてしまえば、多分この男性は吹き飛ばされたきり口を噤んでしまいそうなほどに恐る恐ると教えてくれたからだが。
「どうしてそんなことされたんだい。あれかい、やっぱり駆け落ちかい?」
「いえいえ、お嬢様が出て行かれたのは十三かそのくらいで……恋ではなく、なんでしたか。どこぞに働きたいと仰ったことが原因らしく、大旦那様に反発して飛び出されたと、伺いました」
「はーあ、働いてほしいもんだねえ。下々の生活ってのがどんなのかたっぷり見せてやりたいよ、貴族さまにさあ!」
 嫌味たっぷりに声を高くする女性に、男性は勘弁して下さいとでも言いたげに両手ですがりついてくる。だがそれでどうにかなる女性ではなく、むしろ男性の態度に鼻で笑ったほどだった。どうせこの男性も貴族の下でへいこらしている心の中では、舌を出すことも多いだろうに。それとも大旦那様とやらが死んでしまったから、その幽霊に監視されているとでも思い込んでいるのだろうか。
「結果お嬢様は一度も帰らず、不慮の事故で若くして亡くなられたので……憐れに思われた大旦那様が、どうにか遺体だけでも回収して手元に置かれ」
「それで、どうしてこっちにやるよ」
「……お嬢様は短い間ながらに確かに平民として生き、死んだのだから、今からでも遅くはない、望み通りに弔ってやろうと、最近になって申されまして。……御自ら手配が終えられた、その直後に病状が悪化し……」
 もとからだってあまりいい印象はしないのに、ますます暗く沈みゆくような顔になる男性の姿に、女性は先の自分の予想が正解と知る。だがそれと名前が彫られていないのには関係あるまいと訊ねると、男性はそれも大旦那様のご指示なのですと答えた。
「お嬢様の名は伏せて、ただの名無しとして眠るが道理であって、これこそが本人の望むことだろうと。……屍を手元に置いたのは、自分のわがままでしかないのだから、自分が死ねばこれに愛着を持つ者もおらぬ。であらば知り合いの多かろう土の下で眠らせてやれ、と……」
 切々と語る男性の、ひいては大旦那様の慈悲深い御言葉に、しかし女性はばっさり一声。
「女々しいねえ、たとえ父親と言えど大の大人が、娘一人にそこまであれこれとさ。死人相手にそこまであれこれ気を遣うだなんて、余程御仁はお暇であらせられたのかい」
 今に生き過ぎているにも程がある感想に、同情の言葉や反応が来るであろうと思っていたのか。男性は目を回しながらも首を振る。
「こ、後悔していらっしゃったのでしょう。……家出を止めなかった御自分にも、無理に連れ帰るならばいつでもできると高を括っていた御自分にも」
「後悔ねえ? どうせ誰だって何したってなんかを後悔してるもんだろ。そんな手前が特別後悔しているみたいな物言い、本当女々しいったらありゃしない」
 吐き捨てて、女性は自分で引き止めたにも関わらず男性をしっしと手で追い払う仕草を取ると、墓地から離れてその隣の建物へと移動する。当然有料とは言え死者の集う場に近い施設なのだから、そこも死の臭いを漂わせてもいいはずなのだが、現実は違っていた。
 白い漆喰の建物は、教会であらばどうにもいけ好かないのにここは清潔な印象で。当然薬の臭いもするのだが、それ以上に人と声で賑わっていて女性は好きな場所だと思えるほどだった。不思議な感覚だ。診療所なんて、薬臭くて死臭が染み付いて、聞こえてくるのは重病人の呻き声ばかりだと思っていたのに――尤もそれは、幼い頃、肝試しの感覚で見に行った、町外れにあった診療所の光景が影響しているのだろうが。
 しかし女性が何より好きなのは、この場所でもないしこの診療所が醸し出す雰囲気でもない。ここで一番偉いけれど、気取らない働き者がいたからこそ、女性は頻繁に診療所を訪れた。普段は卵や果実なんかも持ってくるが、たまには手ぶらで土産話を持ってくるだけもいいだろうと考えて。
 診療所のドアを開け、作業中のはずだろうに世間話で盛り上がっている患者たちからの挨拶もそこそこに受け流し、階段を上がると女性はこの建物の中でも特に立派なドアをノックしてから部屋に入る。
「こんにちは、先生!」
「ああ……こんにちは、今日はまた、どうされました?」
 書物と植物と調薬道具がみっしりと並ぶ部屋の奥には窓の外を眺めていたらしい、金髪碧眼の白衣の男性が、金持ちであるのに人懐こい笑みを湛えてわざわざこちらに振り向いてくれる。それだけで女性の胸は高鳴って、なんとも甘い白昼夢さえ見てしまいかねない心持ちになった。相変わらず不気味な女の影が不意に視界の隅に見えたような気がしたが、それにも構わず女性は捲くし立てる。
「いえね、さっき先生も窓からあっち見ていらしたでしょう。あの新しい墓、あそこの」
「はあ、そうでしたか。すみません、考え事をしていたもので……」
「そうかい。けどまあそれでもいいや。あそこでね、面白い話を聞いてきたんでちょっと先生にも教えてあげようかと思ってさ」
 そうして活き活きと、ときに勝手な解釈を交えて話す女性の顔を、やはり先生と呼ばれた男性は穏やかな微笑を浮かべながら細々とした相槌と共に聞き入ってくれて。女性はこの優しい男性に浮き足立ちながら、それでも身を引き締める。何故と言ってこの男性、そこそこ長い付き合いであるにも関わらず、自分のことを一向に話してくれないのだ。妻子がいるのか、恋人でもいるのか。それさえもわかっていないひとに恋をするなどとは、豪胆な女性であっても勇気が必要になる。
「そうですか……そんなことが」
「それでさあ、先生はどう思う? あたしは、死んだ人間のことを考えるのは悪くないよ。悪くないと思うけど、行動に移すまではちょっとどうかと思うんだよねえ……」
 深刻そうな顔を作ると、女性はなるべく遠慮がちな口調でしみじみ呟く。先生と呼ばれた金髪の男性は、それはまたどうして、と穏やかな調子で水を向けてくるものだから、女性はここぞとばかりに控えめな笑みを見せる。偽りの気遣いの、社交性から来るものではなくむしろ猫を被っていると言ったほうがより適切なものだ。
「だってそれだと、生きてるのも死んでるのも、みんな可哀想じゃないか。生きてるあたしらは死んだ人のことなんかどう考えたってわかりゃしないんだから、生きているなりに精一杯幸せだったらそれでいいってもんだろう。なのに死人のためになんて言いながら、生きてるあたしらがあれこれ苦労したところで死人に通じているかどうか……結局、自己満足でしかないよ」
 緩く首を振りながら、やり切れなさそうに含蓄のある言葉を漏らす女性に、金髪の男性はしみじみと同調してくれた。
「……そうですね。確かに自己満足なのでしょう。ですがそれでも構わないと思ったからこその行為を、貶すのはどうかと思いますよ」
 内心では勿論貶していたけれど、口調ではなるべく憐れむように告げたつもりが本心を読み当てられ、女性は一瞬焦りを覚えた。
「貶してなんかいないよ! ただ、なんて言うか……」
「ええ、わかっていますとも。あなたは心根の優しい方ですからね」
 すべてを理解してくれているような柔和な笑みを向けられて、女性は安堵の息をつく。しかしこのまま甘えて居座り続けるのは、いずれぼろが出てしまいそうだと判断するくらいの計算高さは持ち合わせているから、女性は男性に言われるよりも先に膝を軽く折った。
「ありがとう、先生こそ優しいお方だよ。こんなあたしにでもただで薬をくれるんだからさ」
「当然のことですよ。あなたにはいつも物資を頂いているのですから、それくらいはしないと逆に失礼だ」
 嬉しい言葉にどうしても笑みが零れてしまいながら、女性はなるたけ丁寧に礼をするとそれじゃあまたねと踵を返しドアを閉める。そのまま出て行く背中を見届けた男性は、階段下へと遠のいていく足音が消えるまで、貼り付けていた笑みを掻き消して、深く、重々しい吐息を一つ。
「……貴様に何がわかる」
 握り拳を作る。ドアの奥、実験の一パターン風情がなんでも知ったふうなことをと、蔑む気持ちを隠しもせず。
「何が理解できる。ああそうとも、彼女の気持ちなどわからない、わかりようがない。だがそれは貴様も同じじゃないか」
 聞くもののいない反論を述べる声こそが震えており、男性の心情を明確に描く。いや、それほど明確ではなかったか。震える理由は怒りか動揺か、張本人でさえ理解していないのだから。
「けれど彼女は言ったんだ。『僕の中の彼女が満足するまで』と言ったんだ! それは僕にすべての判断を委ねると、そう言うことだろう。それは信じられていると、つまり、そう、だろう……!」
 男性の言葉は独り言でしかないけれど、それでも彼には見えていた。可憐な顔立ち、桃色の髪に澄んだ空色の、華奢な聖女が眼前にいて、自分に微笑んでくれている姿を。ただの幻影であり、自分の意思で虚空に描いたものだと知っていながらしかし彼はそこにこそ自信を見出す。
「だから、間違っているんだよ! あのひとのために僕が行動を尽くすのは正しい。それをあのひとは望んでいる……!」
 反論はない。反論はない。なればこそ男性は歓喜に声を震わせていると自分で思い込んで、清い乙女に手を伸ばす。受け入れるように、自分の脳裏に描いたひとが、自分の手に両手を重ねる姿を想像して。
「ああそうだ……正しいですよね。僕はあなたに生きろと言われたのですから当然生きます、何をしても、どうあっても、どれだけの命を食い潰してでも!」
 悲鳴はない。否定の声は聞こえやしない。だから男性は恍惚とした笑みを浮かべ、幻の乙女から手を放して跪く。信徒が現人神に拝する際のように、額を床で汚さんばかりに深々と。自分の頭に手を掲げ、そうあれと微笑を浮かべる乙女の姿を思い描きながら。
「……前領主など。あなたを殺した連中を野放しにした奴だ。そんなのが誰にどれだけ慈悲を注ごうが、あなたを救わなければ意味はない」
 否定の声は男性に届かない。幻ではないけれど幻以上に霞がかった存在が、父の慈愛に泣き濡れようとしながらも叫んでいることなど知りもしない。
 男性の前におわす幻の乙女は、彼の頭の中では僅かに表情を堅くした程度。そのようなことを言ってはなりません、なんて他人事めいたお行儀のよい言葉を彼の脳に伝えてくるだけだ。他人の命を食い潰すような人間に、彼女がそんな言葉だけで咎めるはずがないと言うのに。
「ええ、わかっています。優しいあなたならそう仰ると。けれど僕は、……やはり我慢ならない」
 ゆっくりと頭を上げて男性は静かな表情のまま、乙女に向き直る。その内面ではどす黒い炎が燃え盛っていたが、彼は彼女の前では怖い顔はすまいと心に決めていた。そのためあくまで口調も含めて穏やかなまま、人の道から外れた提案を平然と話す。
「うらぶれたあの墓からあなたを救い上げ、あなたをあの白い墓石の下に入れて差し上げたいくらいだ。――娘の屍? そんなもの、砕いて肥料にすればよろしい」
 やめてと誰かが叫んだのと同様に、幻の乙女の眉間に縦筋が入る。過激な発言だと自覚した男性は、それだけで厳しい母からのお仕置きに怯える子どものように再び屈み込んだ。
「ああ、申し訳ありませんでした……! そうでしたね、そのようなことをしてもあなたは喜ばない。あの診療所から遠ざけてはならない!」
 そんなことではないと言うのに。そもそも自分はあそこにいないのに。肉声なき誰かが何を言おうとも、男性の耳には届かない、聞こえない。都合の良い幻と会話するだけですべてを終わらせてしまう。
 いや今は、その会話さえできていなかった。怯えた流れのままにまたしても頭を床に付けた男性は、更にそのまま深く背中を丸めて肩を震わせる。聞こえてくる声には嗚咽が滲み、顔を見ずとも表情がわかる。感情の振り幅が次第に大きく激しくなっていくのが、彼を見守るしかできずにいる幽かな存在にも伝わってくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい、僕を許してください……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、あなたが僕を匿ったばかりにごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
 この光景を見るものがおれば、誰しも見ていられないと目を伏せるだろう。床に頭を擦りつけたまま、みっともない啜り泣きの声を漏らして逞しい肉体をわななかせる男性の姿は、見苦しく惨めであるのに同じく奇妙に大げさで滑稽な印象もあって、つまるところとても正気の沙汰とは思えない。
 けれどそんな男性にこそ、影も実体もないものは近付こうとする。その背中を慰めて、謝ることはないのだと告げてやりたいのに。そうすれば、彼はこんなことを続けないと信じているのに。意思はあっても影も実体もないからこそ、手であろうものは彼に触れられない。喉もないから、空気を微かにでさえ振動させられる声も出てない。そんな自分に遣り切れなさが込み上げてくるが、食い縛る歯さえ今のそれにはありもしない。
 肉体のない自分に対し、それは腹の底から煮え滾るがごとき憤りを感じながらも逃げる道は選ばなかった。立つ足がなかろうが踏み留まり、この自分の言葉を呪縛に生き続けるものを解放してやりたいから。それさえどうにかなってしまえば、安心して逝けるのに。なのに、現実はどうにもならない。意思があっても、見ているだけでは足掻くことさえできない。悪意と言う名の底無し沼に足を取られ、抵抗しながらもゆっくりと溺れ沈んでいくこの男性に、手を貸すことさえできやしない。
 やるせなさに狂ってしまいそうになる。だがやはり、それには脳がないから狂うことさえもできやしない。意識の端からざわついて、怒りにのみ支配される感覚に引きずられそうになって、そのまま長らく怒っていれば怨霊になってしまいかねないと自らの心境を危惧する。ああそう言えば――怨霊は悪魔、なのだろうか。
 悪魔と単語を思い浮かべるだけで、誰かの姿が連想される。もう自分の生きていた年齢近くの歳月を肉体なき状況で過ごしていると言うのに、まだ引きずっている自分に呆れながらそれでも気持ちは止まらない。あの悪魔はそれが『彼女』として事切れてから一度もここに姿を見せない。優しいひとだからこの付近では人を狩らないようにしてくれているのだろうが、もう忘れてしまったとしたら。考えるだけで、それが怒りとは同方向の何かに飲まれる。
 けれどそれは当たり前だろうと、何度も冷静に己に語りかけた思考を使ってもとのものへと戻ろうとする。正確には答えてくれなかったけれど、きっと何百年何千年と生きているあの彼が、自分のことなど覚えているはずがない。たったの三日、僅かな時間に言葉を交わし、視線を数える程度に交わしただけの人間の娘を、どうして記憶に留める必要がある。仲間や知り合いとの死に別れも多く経験してきただろう。だから覚えていなくて当たり前。忘れてしまって当然。自分との約束なんて、きっと彼には無意味なもの。
 鋭い痛みが怒りを蝕む。蝕んだ先から滲んだ感情は、今度は悲痛となってそれを侵食する。あまりの辛さにどうして自分は最期の瞬間にあの感情に気付いたのだと、悔やんでしまうもそれこそ無意味。切なさばかりが込み上げ、苦しさばかりが溢れて、恋しさだけで溺れてしまいそうになる。しかしこれらの感情は、それにはどう足掻いても報われるものではなく――大体、彼がどこにいるのかも知らないのに。彼が今の自分を認識できないかもしれないと想像するだけで、唐突に醜いものに変じてしまうかもしれないのに。そんな結末、死よりも嫌だ。
 そんな恐怖もあってか、それは『彼女』の命を奪ってしまった人々に対し怨讐を願う男性にのみ執念を向ける。けれどこの選択もいつの日か、自分を無念のあまり化け物へと変える結末を迎える可能性は大いにある。いいや大体がここに死神をどうにかやり過ごしながらも留まっている理由だって、無理に天へと逃げるのだけは嫌だから、なんて浅ましい未練があって。
「そうは見えませんよー?」
 今も尚続く男性の慟哭の中で、聞いたこともない誰か、少女の声を耳にして、それは恨みの魔物になりかけた自分からもとのものへと戻っていく。だが戻っていく最中にも探したのに、どこにも声を発したものの姿は見えなかった。当然、眼前の男性が気付いているはずもない。なのにどうして、と戸惑うそれは気付く。自分の思念に、反応されたのだと。
「ええ、その通りです! あなたの死しても他者を憂い続ける優しさ、苦しみ悲しみながらも魔道には堕ちんとする気高さ、汚れを知っていながらも汚れを身に付けまいとする意志の強さ! どれをとっても遜色ない!」
 明るい声だった。長く厳しい冬に耐えてようやく感じた春の陽光のような、爽やかな野原に咲く素朴な花のような、耳にするだけで温かいものが満ちてくる声が、それに今まで以上により明確な人の姿を取らせる。
 向こうが見えるくらいに存在感は希薄だが、自分の手らしきものが見えたと驚いたその瞬間、つむじから上へ引っ張り上げられて、『彼女』へ変じたものは思わず悲鳴を漏らした。
「きゃぁあ!?」
「あっ……ごめんなさい、やりすぎちゃいましたかねー」
 診療所の屋根を越え城の尖塔さえも見下ろすほどの場所に放り投げられた『彼女』の前で、えへへと能天気な笑顔を見せたのは、絹糸めいた淡い金髪に夏の海底よりも鮮やかな瑠璃色の瞳、それと同じ色合いの大きなリボンに可愛らしくあどけない顔立ちの、見るからに穢れのない少女だった。光輪こそは持たないものの、その長髪の背中から覗く純白の羽は間違いなく、少女が天使だと証明している。
 自分が天使に雲の上へ引っ張られたことを知った『彼女』は暫く呆然としていたが、同時に悲しくもなってしまう。ついに死神から逃れ続けた自分は天使によって地上から強制的に引き剥がされて、転生の輪の中に組み込まれ、すべてを忘れて一から生きていかねばならないらしいと知ったからだ。
 だが『彼女』の予想に反して、天使は相変わらず明るい調子で、生前の姿でいるであろう魂をじっくり眺めて微笑んだ。その笑みは、神聖であれど傲慢な天使のイメージとはかけ離れて温かい。
「天界の住人として、あなたをスカウトしに来ました。もしあなたがいいと言うのでしたら、のお話ですけど」
「……てん、かい?」
「天使、とあなたがた人間が仰るものです。興味ありませんか?」
 暢気な口調で語られたのは、『彼女』にとって青天の霹靂。これが嘘や夢であるならばそちらの方が余程安心できる、突飛極まる話だった。だがどれほど『彼女』が衝撃を受けても、幻であるならば都合よく掻き消えてしまうはずの天使は消えもしない。それどころか、足から崩れ落ちそうになった『彼女』を支えてくれた。肉体を失ってから長らく、誰かに触れず触れられなかったはずなのに。
「……そん、な。だって、……わたくしは、そんな……」
「畏まることはないですよ~」
 『彼女』の体を支えてくれる、その白く温かな手の柔らかさ。触れられているだけで今までの悲しみが浄化されていくような確かさに、『彼女』は知らず目尻が熱くなる。
「今まであなたがその心に刻んだ傷は無数にあるけれど、それだけあなた自身は磨かれた。そうしてできあがった珠のように輝く魂が、悲しい存在になるだなんて見過ごせません」
 言葉の意味は深く捉えられない。けれどそれでも真正面から誉めてくれるのが、自分のことを案じてくれるのが嬉しくて、『彼女』は温かな涙で頬を濡らす。そんな『彼女』を天使は迷いなく子ども相手のように抱き締めて、『彼女』の喉から生まれる呻きがますます大きさを増す。細腕に抱かれる心地よさと胸の内からこみ上げてくる熱い奔流は、今まで悲しく黒く染め上げようとしてきたものとは正反対の清浄なもの。
「よく頑張りましたね。……えらいえらい」
 抱かれたまま頭を撫でられて、『彼女』はそのまま泣き崩れた。この天使に自分の心や信仰心をつまびらかに暴かれて、やはり天使となるにはふさわしくないと言われても満足してしまうくらいに晴れやかな気持ちになったから。
 だがまだ『彼女』は知らない。のちに天使が生前、自らの精神安定のために祈りを捧げてきた『彼女』を許すことを。泣き止んだ『彼女』が天使となる道を選ぶことを。以後四百年、天使の身でありながらやはりあの憐れな男性のために孤独に奮闘することを。
 そうして四百年の終わり際。誰かと、生まれて初めて恋をしたひとと再会することを――このときまだ、『彼女』は知らなかった。全く何も、知らなかった。


―完―
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