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過去ティナ今ティナ未来ティナ

2012/03/01

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・トップは誰だ

2012/03/12

「ん~……なかなか難しいわねえ」
「何してるの?」
「ちょっと、うちの党内の力関係をわかりやすく図解にしてみようと思ったんだけど、思ってたよりも複雑で……」
「党内の力関係?
って言っても、うちの党首はヴァルバトーゼ様じゃない」
「それはそうだけど、ヴァルバトーゼ様ったら、フェンリッヒ様があれこれ誘導したらなんの拒絶もなく従うでしょ?」
「ああ、そう言うこと」
「そうそう。けど決定権はヴァルバトーゼ様にある訳だし、フェンリッヒ様が一番党内で権力を持っているかって言うと、そうでもないのよね~」
「あはは、実際そうだったらあの天使ちゃん真っ先に排除してるものねえ。
それができないどころか、今やあの子とヴァルバトーゼ閣下がいつくっついてもおかしくない状況だし」
「あのふたりのウブっぷりなら、数年はあのままな気がするけど……」
「実際、あの天使ちゃんたら本腰入れてないのに閣下を尻に敷いてるし?
向かうところ敵なしって感じだけど、あの姉妹には振り回され気味よね」
「うんうん。けどあの子たち、フェンリッヒ様からよく脅されたりげんこつ喰らってたりしてない?」
「まね。それに未成年の居候だもん。あれこれ言ったって完全に好き放題はできないわよ~」
「あとさ、フェンリッヒ様もヴァルバトーゼ様も、デスコちゃんのほう可愛がってる気がするのってあたしの勘違い?」
「それわたしも思った。けどデスコちゃんはおねえさま至上主義だし、フーカちゃんもそれが当然って感じ」
「でしょ? だから図解にしようにもループ入っちゃって、なかなかはっきり決められないのよ……」
「ふうん……確かに三すくみ、いや四すくみ五すくみって感じね。
……けど、あの。……今までの会話の中で、唯一出てない坊ちゃんいるじゃない」
「あ、うん……。それは結構最初の頃に決まった。エミーゼル様頑張ってるけど、正直、完全にほかの五人に振り回される側だなって……」
「よね。……はあ、未来の大統領がそれでいいもんなのかしら……」

「おっ、坊ちゃんじゃないですか~!」
「うっわ……なんだよアクターレ。どうしてこっちいるんだよ!?」
「いやいやいや、久々に地獄でライブをしようかなーなんて思っちゃったりしましてね~。
今からヴァルバトーゼの奴らに許可もらいに行くんすよ~。あ、坊ちゃんもご一緒にどうです?」
「絶対いやだし……」

「……現大統領がヒエラルキー最下層なんだから、まあいいんじゃない?」
「かもね」

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で、D4ってどんな話なんよ

2012/03/15

 たまに『D4は何がしたいのか、伝えたいのかよくわからない』との意見を某所とかで見かけることがあります。確かに4は恋愛モノのようで恋愛モノじゃない、ほかにも結構盛り沢山な感じの恋愛モノだった訳ですけども、ロマンスとしてわかりやすいのは2や3の新婚夫婦の直球なエピソードだろうなとも思う訳でして。
 なんで、今作主役ップルの、ストレートにくっついたとの表現があるんじゃなくていずれくっつくであろうと間接的に思わせる結末は、純粋に恋愛モノとは断定できないんじゃないかなあとも考えられます。余韻(と書いて妄想の余地と読む)を求めればこう言うのもいいんですけどね。なんて言うかPKと1の主役カップルの中間地点的な?
 かと言って、閣下のアルティナちゃんへの感情を抜いて閣下を語れるはずがなく、またストーリーも成立しない。しかし友情物語と言うには相手ホモだし家族愛モノと言うには人格破綻者ばっかだし成長物語とも言い難い。六人全員主役かと言うとそうでもない。いつぞやか絆の物語ではないのかなーと主張したんですが、それもあんまりしっくり来ない。
 と、唸っているところに最適な表現がありました。エミちんの台詞、「暴君ヴァルバトーゼの『冒険譚』」。※英雄譚だったかも。
 プリニー教育係として手下と最低限の幸せに甘んじていた吸血鬼が、自らの信念のためついに立ち上がり、魔界最下層区から頂点、人間界、宇宙、果ては神への反逆に向かう物語。たった一人のお付きから始まって、風変わりなJC、その妹、へたれの死神、想い出の娘と次第に仲間を増やしていく様子は、まさしく冒険譚と表現するに相応しいのではないかと。
 だから次々と襲い来る障害に立ち向かう、ある程度のスペックを持っていて尚且つその強さにも説得力を持つ主人公である閣下は、エミちんほど急激な変化を見せることもなく(それでも変化はしていきますが)、仲間と一緒に歩んできた自覚があるから彼らとの絆を蔑ろにしない。1、3の成長物語、2のロマンスを意識した各主人公のキャラのOPからEDの変化を考えてみても、個人的にしっくり来ます。
 と以上の点を意識すれば、裏付けるように個別エンディングは冒険の続行を意識しているものが多かったり。
 フェは「閣下もっと冒険しましょうよ」っつーエンディング。フーカすんは「今度の主役はアタシよ!」、デスコには閣下から「冒険続行すっぞ」、エミちんエンドは「次の主役はお前に譲ってやんよ」「うんボク頑張る!」。なのにアルティナちゃんだけが冒険譚の終了→恋愛譚への変動を意識させつつそれがシステム的にノーマルエンドだっつーんで閣下的にはそっちなんだなーとニヤニヤ。やっぱり恋愛色は強いですよねー。
 多分、普通の冒険譚ならヒロインを初対面のフーカすんに据えるくらいラブ要素軽めですよね。けど閣下は前提として四百年前の悲しい過去を引きずって物語が始まる。魔界の弱体化を実感していく中でついに運命の娘と再会を果たし、本来の敵を知り、またその敵を倒そうと冒険の歩みを進めて行くことによってその敵の正体をも知る。アルティナちゃんは正直な話、加入遅かったりネタバレ要員だったりでキャラ薄いけど、設定としてはかなり物語の根幹に関わってることでロマンス要素をも強めてるからその辺り巧いなあと唸りました。
 閣下の冒険の終わりは、言ってみれば恋敵でもあった男の救済。と同時にその男のために四百年間奔走していた娘を贖罪から解放し、彼女の戒めを解いてたったひとりの娘に戻してやる展開でもあるんですよね。
 彼女が選んだのは、そうやって自らの冒険を終えた男のそば。……うんこれからじっくり互いの想いを育めばいいさ。とっとと結婚しろとはいまだ口酸っぱく言うけども!

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やさしいお姫さまのおはなし

2012/03/20


 昔むかしあるところに、ひとりのかれんでやさしいお姫さまがいました。
 お父さまである王さまはお姫さまをとてもかわいがって、ある日、お姫さまのおむこさんをさがそうと、世界じゅうにおふれを出しました。
 われこそはお姫さまにふさわしいと、たくさんの男のひとがお城にあつまりました。
 世界じゅうのお金もちたちが、お姫さまにプロポーズしました。けれどお姫さまはこう言いました。
「わたくしのことをほんとうにすきでいてくださるなら、今からお金をまずしいひとたちに分けあたえ、一文なしになってくださいな」
 お金もちたちはびっくりしました。
「とんでもない! お金がなければおいしいものも食べられない、きれいな服も着れない。あなたと結婚することもできません」
「でしたらあなたがたはわたくしをすきではないのね。さあ、お帰りくださいな」
 お姫さまにふられたお金もちたちは、すごすごと帰っていきました。
 世界じゅうの力じまんが、お姫さまにプロポーズしました。けれどお姫さまはこう言いました。
「わたくしのことをほんとうにすきでいてくださるなら、みにくいあらそいを起こすひとや動物たちの心をどうかいさめてくださいな」
 力じまんたちはびっくりしました。
「そんなことどうやってやるんです? それにもしそんなことができてしまったら、おれたちはこの力をふるえなくなってしまう!」
「やりかたも考えてくれないなんて、あなたがたはわたくしをすきではないのね。さあ、お帰りくださいな」
 お姫さまにふられた力じまんたちは、すごすごと帰っていきました。
 世界じゅうの色男たちが、お姫さまにプロポーズしました。けれどお姫さまはこう言いました。
「わたくしのことをほんとうにすきでいてくださるなら、今からお城のかちく小屋をちりひとつのこさずきれいにしてくださいな」
 色男たちはびっくりしました。
「とんでもない! そんなことをしたら、わたしたちのかっこうよさがそなわれてしまう。それにあなたはかっこわるくなったわたしたちを笑われるにちがいない」
「でしたらあなたがたはわたくしをすきではないのね。さあ、お帰りくださいな」
 お姫さまにふられた色男たちは、すごすごと帰っていきました。
 世界じゅうの賢者たちが、お姫さまにプロポーズしました。けれどお姫さまはこう言いました。
「まああなたがた。わたくしは今はかわいいかもしれないけれど、明日には顔にけがをおうかもしれませんのよ」
「ですかお姫さま、あなたはおやさしいお姫さまでおられます」
「わたくし、明日にはいじわるになってしまうかもしれませんのよ」
「ですがお姫さま、あなたはこの国のお姫さまであらせられます」
「その国が明日、ほろぶかもしれません。それでもあなたがたは、わたくしをすきでいられますか?」
 賢者たちはしばらくだまりこんだあと、お姫さまは自分たちと結婚したくないのだとひとつの答えをみちびき出し、すごすごと帰っていきました。
 ほかにもたくさんのひとがプロポーズをしましたが、お姫さまはいろんなことを言ってそのすべてをふりました。
 賢者たちの思ったとおり、お姫さまは結婚なんかしたくなかったのです。
 お姫さまはかれんでやさしいけれど、おなじくらい自ゆうがすきでした。おむこさんも、自分のすきなひとでいいと思いました。
 けれど自分のすきなひとがどんなひとなのか、お姫さまはよくわかりませんでした。


+++++++++++++++++



 ある日、お姫さまはひとりでお城をぬけ出して、森の動物たちに会いにいきました。
 動物たちはお姫さまによくなついて、お姫さまはどんな動物でもみんなおなじように大切にしました。
 けれどその日は、動物たちがいっぴきたりとも見つからなくって、お姫さまは日がしずむまで森を歩きまわっておりました。
「みんな狩人にやられたのかしら。それとも重いやまいにかかって動けないのかしら」
 お姫さまがはらはらしながら森をさまよっていると、ばさり、ばさり、と空から音がするではありませんか。
 なんと空には、黒い、大きな大きな、お姫さまより大きなコウモリがいたのです。
 お姫さまはそんなコウモリをみたことがないのでびっくりしましたが、ようやく生き物にであえたことにほっとして、大きなコウモリにはなしかけました。
「はじめまして、コウモリさん。あなたはずっとここに住んでいたのかしら。だったらほかの動物たちがどこへいったのか、教えてくれないかしら」
「なるほど。あいつらはにげたのだな」
 コウモリがひとの言葉でしゃべったものですから、お姫さまはおどろきましたが、こんなに大きなコウモリなんだからしゃべれてもおかしくないと思いなおしました。
「コウモリさん。あなた、ひとの言葉でおはなしできるだなんて、とってもかしこくて長生きなのね」
「おまけに大食らいだ。はらがへったで、この森のけものどもの血をすってやろうと思ったのだが、あいつらあん外カンがいい。この森をさがしまわっていたが、ようやくここでおれ以外の生き物とであった」
「まあ、あなたは血をすうコウモリさんでしたの」
 それなら森の動物たちがにげるのもしかたありません。たとえどんなに大きな動物でも、こんな大きなコウモリに血をすわれてしまえば、からからにひからびてしまうでしょうから。
 お姫さまはたずねました。
「おなかがすいたコウモリさん。わたくしの血も、あなたのごはんになりますか?」
「ああ、なるぞ。さあ、おれに血をすわれたくなければにげるがいい。お前の100歩なぞ、おれの1歩でおいつくわ!」
「そんなことしませんわ、コウモリさん。おなかがすいているのなら、わたくしの血をすってくださいな」
 大コウモリはそんなことを言われたのは生まれてはじめてだったものですから、びっくりしながらたずねました。
「お前はおれがこわくないのか。このままだと血をすわれてしまうのだぞ」
「おなかをすかせたかわいそうなコウモリさんを、どうしてこわがらなくてはいけないの」
「おれに血をすわれるものはこわがるのだ。こわがれないと言うのなら、おれはどうやってもお前をこわがらせてから血をすってやるぞ。ほかのやつらはそのつぎだ」
「そうおっしゃるのなら、どうぞあなたのしたいようになさってください」
 こうしてお姫さまは、大コウモリと知り合いになりました。
 つぎの日、お姫さまが森にやってくると、大コウモリがおそいかかってきました。ぎらぎら光る歯をむいて、頭からかぶりつこうとしました。それでもお姫さまはこわがりませんでした。
 そのつぎの日、大コウモリはするどいつめでお姫さまをわしづかみにしました。お姫さまはいたがりましたが、やっぱりこわがりませんでした。
 ほかにも大コウモリはいろんなやりかたでお姫さまをこわがらせようとしましたが、お姫さまはちっともこわがりません。
 とうとう、大コウモリはお姫さまにたずねました。
「お前はなにがこわいのだ?」
「さあ、なにかしら。わたくしもちっともわからないので、コウモリさん、いっしょにかんがえてみましょうよ」
 それからふたりはたくさんおはなしをするようになりました。お姫さまは自分のすきなものを、大コウモリは自分が今までどんな動物たちの血をすって、どれほどおそろしい生き物かをおたがいおしえあいました。
 お姫さまはこの大コウモリのことを知るにつれ、お友だちになってくれないかしらと思うようになりました。なにせこの大コウモリは、勇かんですなおで、ほかの動物たちをこわがらせて血をすおうとする以外は、とてもきもちのいいコウモリだったのですから。


+++++++++++++++++



 ある日、大コウモリにあいに森にいこうとしたお姫さまは、王さまによびとめられました。
「これ姫よ。お前はこのところずっと森にあそびにいっておるが、お前はむこさがしのまっさい中だということ、わすれてはならぬのだぞ」
「わたくし、お父さまのすすめる男のひとたちを、ちっともすてきと思わないんですもの」
「なあに、つぎの男はきっとお前も気にいるであろう。さあ、ついてきなさい」
 お姫さまはしぶしぶ王さまのあとをついて、おむこさんになろうとお城にやってきた男のひとに会うことになりました。
 まったく王さまの言葉にきたいしていなかったお姫さまは、けれどとてもびっくりしました。
 そのひとは、今までだれもみたことがないくらいすばらしい黒いマントをきた、目のさめるようなすてきな男のひとだったからです。
「このかたは、とあるゆうふくな国の王子さまでな。おきさきをさがそうと、色んなところを旅して回っておいでだったのだ。旅のさ中、色んなぼうけんをなさって、そのどれをも自分の頭と力でのりこらえてこられた、とてもりっぱなかただ」
 王さまはほかにもたくさん王子さまについてほめたたえましたが、お姫さまの耳には入りませんでした。
 お姫さまは王子さまを一目見ただけで頭がくらくらして、むねがどきどきして、王子さまをもっと見つめていたいのに、そうしようとするだけで体がふらふらになってしまうからです。
 それくらいすばらしい王子さまは、お姫さまにそっとはなしかけました。
「きみは今まで、たくさんの男たちにいろんなむりをめいじたときいた。さあ、おれにはどんなむりをめいじるんだい」
 お姫さまは大へんこまってしまいましたが、それでもたずねてみました。
「あなたは自分のお金をすべて、まずしいひとにわけあたえられますか?」
「きみがのぞむのならそうしよう。金がなくても結婚できる」
「あなたはどうもうなけものやひとの心を、おちつかせることができますか?」
「きみがのぞむのならやってみよう。おれの力はじまんするためにあるのではないのだから」
「あなたはかちく小屋をちりひとつのこさずきれいにできるかしら」
「なにかんたんなこと。町のかちく小屋じゅう、きれいにしてやってもかまわないくらいだ」
「明日にはわたくし、顔に大けがをおうかもしれません。いじわるになるかもしれません。国がなくなるかもしれません」
「ならばおれもそうだ。それでもおれは、きみといっしょにいたいのだ」
 どれもこれもあっさりとかわされてしまい、お姫さまはもっとこまりました。
 なにせお姫さまは男のひとをみてこんな気もちになるのは生まれてはじめてでしたから、それがすきかどうかもわからないのです。けれどここで王子さまをすきとみとめてプロポーズをうけ入れば、お姫さまは大コウモリとはきっともう会えません。
 そんなのはいやだから、お姫さまはひっしになって言いました。
「では王子さま。あなたがほんとうにわたくしをあなたのおきさきにしたいと思っているなら、ひとつおねがいを聞いてください」
「なんなりと」
「私はとあるひととやくそくをかわしました。そのやくそくがはたされるまで王子さま、あなたにまってほしいのです」
「そのやくそくとはどんなものかな。いつ、はたされるものなのかな」
 頭のいい王子さまに大切なことを聞かれて、お姫さまは王子さまがおこって出ていかれるかもしれないとおびえながら正直に答えました。
「それは言えません。いつはたされるかもわかりません。10年、20年、いいえもっとかかるかもしれません。けれどそれでもまってほしいの。王子さま、あなたがほんとうにわたくしをおきさきにしたいと思ってくださるのなら」
 王子さまは、お姫さまとあったときがずっとにこやかだったのに、このときちょっとおどろき、すぐにはははとわらいました。
「いいだろう。おれは多くのしれんをのりこえてきたが、ひたすらまつだけのしれんははじめてだ。それしれんをはたしたあかつきには、きみをおれの国につれていこう」
 そうしてふたりはこんやくしました。
 王さまはおふれを出すのを止めて、お姫さまがいつおよめにいってもいいようにじゅんびをしました。


+++++++++++++++++



 お姫さまが王子さまとこんやくしたつぎの日、お姫さまはこわがらせてもらおうと森に大コウモリに会いにいきました。
 するとなんと大コウモリがすこしだけ小さくなっているではありませんか。お姫さまはびっくりして、大コウモリにたずねました。
「コウモリさん、どうしてちぢんでいるの?」
「血をすわないとだんだん小さく、弱くなっていくのだ。しかしあん心しろ、おれはとても強いからな。このくらい小さくなっても、おまえなんぞその気になればひとかみだ」
 お姫さまはびっくりしました。大コウモリがお姫さまをこわがらせるまでほかのだれの血もすわないと聞いてはいましたが、まさか本当にそうしていただなんて思ってもみなかったのです。
 大コウモリがかわいそうになったお姫さまは、ぽろぽろと泣き出してしまいました。
 それを見て、大コウモリのほうがぎゃくにびっくりしました。
「どうして泣くのだ、娘。おれがこわくなったのか?」
「ちがうわ、コウモリさん。ずっとおなかをすかせたままのあなたがかわいそうで、あなたにおなかをすかせたままにしているわたくしがなさけなくて、悲しいの」
「なにそんなこと、気にするな。おれは血いがいのものだって食うのだ、ずっとはらがへっているわけではない。だから泣くな、娘、泣くな」
「本当に?」
「ああ、本当だとも」
 お姫さまが泣き止むと、大コウモリはほっとしました。それをみて、お姫さまはこんどはおかしくなってわらいました。
「あなたはおかしなコウモリさんね。わたくしをこわがらせて血をすいたいのに、わたくしが泣くのはいやなの?」
 大コウモリはてれくさそうに、羽をはばたかせました。
「おまえがおれにこわがって泣くのなら、おれはよろこんでお前を泣かせたままにしよう。だがおまえがそれい外のことで泣くのはいやなのだ」
「どうしていやなのかしら。わたくし、自分のすきなときに泣いて、自分のすきなときに笑いたいわ」
 へんじにこまってだまりこむ大コウモリに、お姫さまはそれまでずっと思っていたことをあらためて言いました。
「ねえコウモリさん。わたくしのお友だちになってくれませんか?」
「友だちだと?」
「はい。わたくし、とあるひとと結婚のやくそくをしましたの。そのひとには、わたくしがあなたに血をすわせてあげるまでまっていてくださいとおねがいしました。けれど、今のわたくしはあなたをこわがれないから、やくそくはなしにして、お友だちになってください。お友だちなら、わたくしがおよめにいったさきをおしえておはなしできるし、あなたが血をすいたいと言うなら、すわせてあげることだってできます」
 お姫さまからはなしを聞かされた大コウモリは、かんかんにおこりだしました。
「ふざけるな、おまえはおれのえものなのだ。えものをこわがらせることもできず、友だちになるなど、いっしょうの『はじ』になる!」
「けど、それならわたくし、およめにいけません」
「ならおれをこわがればいい。こわがれないならおまえはずっとそいつをまたせることになる。とっととよめにいけばいいものを、そんなやくそくなぞするから、おまえは結婚できないのだ。ざまをみろ!」
 大わらいした大コウモリは空にまいあがり、お姫さまのまえからすがたをけしました。
 お姫さまは、大コウモリに友だちになってもらえず、またやくそくもはたせそうにないとわかって悲しみました。
 けれどお姫さまは、王子さまにあのやくそくをわすれて、今すぐ自分をあなたのおよめさんにしてくださいとは言えませんでした。やくそくをなかったことにするのはとってもしつれいなことだと、大コウモリから学んだからです。


+++++++++++++++++



 お姫さまが王子さまとこんやくをして、5年がたちました。
 王子さまはずっとお姫さまのすむお城にいて、お姫さまにやさしくしてくれました。お姫さまはとてもしあわせでしたが、おなじくらいもうしわけなく思っていました。まだお姫さまは大コウモリをこわがれないからです。
 お姫さまはうそをつくのがいやでしたから、大コウモリにうそ泣きしたりこわがるふりをしたりしませんでした。
 けれどすこしずつ小さくなっていく大コウモリにこわがれないじぶんがなさけなくて、たまに泣くこともありました。すると大コウモリがひっしになぐさめてくれるものですから、お姫さまはますます大コウモリに友だちになってほしいと思うようになりました。
 そんなある日、王子さまはこきょうに帰ることになりました。お年をめした王さまがずっとやまいにふせっておられるので、つぎの王さまである王子さまが国にいなければならないのです。
 お姫さまのお父さまの王さまは、お姫さまについていくようめいじましたが、王子さまがことわりました。
「おれは姫がやくそくをはたされるまでまつとやくそくしました。それなのにつれていくなんて、姫とのやくそくをやぶってしまうことになります」
 それから王子さまは、お姫さまの手をそっとにぎってほほえみました。
「おれはこれから国にかえるが、きみとのやくそくはまもりつづけよう。きみがやくそくをはたし、おれのきさきとなる日を毎日ゆめ見ていよう」
「ええ、わたくしも。あなたの国であなたとともにすごす日をたのしみにしていますわ」
 そうして王子さまは、お姫さまがいる国からさっていきました。
 お姫さまは王子さまとつぎはいつ会えるのか、もしかすると自分が大コウモリにこわがれないかぎり二どと会えないのではないかと思うと、わんわんと泣きました。
 それに、王子さまはやくそくをまもってくれると言いましたが、国にかえって王さまとしてすごしているうちに、お姫さまのことをわすれてしまうかもしれません。そうして、べつのおよめさんをもらうかもしれません。
 そうかんがえただけで、お姫さまは今すぐしにたいくらい悲しくなりましたが、けれどおなじくらい、王子さまをしんじたいと思いました。そのためには、大コウモリをこわがらなくてはなりません。
 けれどお姫さまは、今、自分がもっともおそれていることがわかったので、もう大コウモリにどんなことをされたってこわいと思わなくなっていました。
 お姫さまは、王子さまに会えないこと、大コウモリとしゃべれないことを、なによりおそれていました。


+++++++++++++++++



 王子さまが旅だって、さらに5年がたちました。お姫さまはやっぱり、大コウモリをこわがれませんでした。
 王子さまが旅だって、さらに10年がたちました。お姫さまはやっぱり、大コウモリをこわがれませんでした。
 20年、30年、40年。それだけたっても、お姫さまはやっぱり、大コウモリをこわがれませんでした。
 お姫さまはおばあさんになってしまい、わかいころのかがやくばかりのかわいらしさはすっかりうしなわれておりました。
 王さまはもうずっとまえになくなられ、お姫さまのお兄さまが王さまとして国をおさめていましたが、お兄さまはコウモリにはなしかけるお姫さまを気みわるがって、城のすみのとうにおいやり、さびしいくらしをさせました。
 それでもお姫さまの心はやさしく自ゆうなままでした。王子さまと大コウモリのやくそくを、ときおりまよったりもしましたが、ずっとまもって、しんじていました。
 50年目のある日、やまいにふせったお姫さまは、きっともうじぶんはたすからないとかくごをきめました。
 大コウモリがおとずれるじかんになるまでまつことにして、やすみやすみ、みのまわりのものをせい理しました。王さまがくれたよめ入り道ぐは、けっきょくのところつかわれずじまいでした。
 そうして血をすわなくなったせいで、ふつうのコウモリよりすこし大きいくらいの小ささになった大コウモリがあらわれると、お姫さまはのこる力をふりしぼって言いました。
「コウモリさん。わたくし、あなたにおれいを言いたいの。50年も、毎日わたくしにあってはなしをしてくれてありがとう。あなたはおこったけれど、わたくしにとってあなたは一生の、いちばんのお友だちよ」
「ついにぼけたか。おれはおまえの友などではない。おまえはおれのえものなのだ!」
 大コウモリは、どれだけ小さくなってもたいどをかえませんでした。お姫さまはそんな大コウモリに、せいいっぱい、にっこりわらいかけました。
「ぼけてなぞいませんよ。あなたとのやくそくは、今でもはっきりとおぼえております。けれどごめんなさいね、コウモリさん。わたくしはけっきょく、あなたに血をすわせてあげられないまましぬわ」
「しにはせん。さあねろ。明日はきっとよくなる。おれは明日もまたおまえをこわがらせにきてやる」
「いいえ、明日にはわたくし、つめたくなっているわ。よこになったら、もうずっと目をさまさないわ」
 大コウモリは羽をばっと広げると、お姫さまの頭のまわりをとびまわりました。そのくらい、小さくなっているのです。
「そんなことゆるしてやるものか! さあ娘、こわがるのだ、おれをこわがらねば、おまえがしぬことなどゆるさん!」
「もう娘ではありませんわ、コウモリさん。わたくし、よぼよぼのおばあちゃんですもの。けれどあなた、わたくし、しぬのはこわくないのよ」
「どういうことだ」
「わたくしがこわいのは、あなたともうおはなしできないことですもの。王子さまに、また会えないまましぬことですもの。それにくらべればしぬのなんて」
 お姫さまは、少しずつつかれてきました。もっと大コウモリとおはなししていたいのに、なんだかとてもねむくて、体がつめたくて、力が入らなくて、気をぬけばふうっとたおれてしまいそうで、これがしぬことだとわかりました。
「けどいやよ、わたくし、いや」
 大コウモリに手をさしのべようとしましたが、それさえも今のお姫さまにはできませんでした。それどころか、自分がどこを見て、どんな顔をしているのかさえ、なんと言っているのかさえわからなくなって。
「コウモリさん」
 けれどひっしに、声をふりしぼりました。
「王子さま」
 さいごにこれだけは、言いたかったものですから。
「だいすきよ」
 もう会えなくて、こわいと。
 それからお姫さまはばったりとたおれました。もう、いきをしていませんでした。けれどその顔は、とてもおだやかでした。
 コウモリは、小さなかぎづめを指にして、お姫さまのしわだらけのほほをなでました。まえ足をうでにして、お姫さまのほそい体をもち上げました。そのとき、コウモリの羽がとてもすばらしい、今までだれもみたことのないような黒いマントにかわって、ふわりとお姫さまのへやに広がりました。
「おれのまけだ、娘」
 そう言うとコウモリは、お姫さまののどにきばをつき立てました。


+++++++++++++++++



 お姫さまは、長いながいねむりから目ざめた気分で、ゆっくりとまぶたをひらきました。
 するとどうでしょう。お姫さまはお城のすみのとうにいたはずなのに、お星さまがきらめく夜空の中にいるではありませんか。
 これはゆめなのかしら。それともこれがしごのせかいなのかしらと、びっくりしたままのお姫さまは、自分がだれかにだかれているのにようやく気がつきました。
 そのひとは、お姫さまがだいすきなひとでした。50年もたったのに、お姫さまが一目見たときからすきになったすがたそのままの。
「王子さま!」
「ようやくおきたか、娘」
 娘とよばれてお姫さまはびっくりしました。そんなふうに自分をよぶのは、大コウモリだけでしたから。
 そんなお姫さまの心がわかっているように、王子さまはマントを夜空いっぱいにはばたかせながら、にやりときばを見せてわらいました。
「まったくおまえときたら、ひどいがんこものだ。しぬまぎわにさえおれがこわくないなどと言いおって、そんなにおれと会いたくなかったのか」
 王子さまの口から出てくることばのいみがよくわからなくて、お姫さまはなんども目をぱちくりさせました。けれどじわじわいみがわかってきて、お姫さまは顔をまっ赤にしてさけびました。
「コウモリさん! あなた、王子さまだったの?」
「そうとも。おまえがおれのきさきになって、そのうえでおれの正体をあかしてやれば、おまえはぜつぼうし、こわがるだろうと思っていた。なのにおまえときたら、おれをこわがってからおれといっしょになりたいと言う。どうしたものかと、ずっとなやんでいた」
「だったらあなたはわたくしをずっとだましていたのね。ひどいわ。わたくし、あなたにうそをついたことなんてないのに!」
 ぷいとくびをそむけたお姫さまは、自分のすがたもまた、コウモリと王子さまにはじめてであったときにもどっていることに気がつきました。どうしてでしょう。あのときお姫さまは、たしかにしんだはずなのに。
「だましてなどいないさ」
 王子さまの、大コウモリの、声はとても静かでした。うそをついているようには、とても聞こえませんでした。
「たしかにおれは王子などではない。きさきなどさがしていない。しかし、おまえとはずっといっしょにいたいと思った。ひとのすがたでおまえと会えなくなったときでさえ、つらかった。おまえがしんだとき、おれは心がこわれそうになった」
 王子さまのことばにおちついたお姫さまは、みをのり出してたずねました。
「やっぱりわたくし、あのときしんだのね。なのにどうして生きているの? ここはしごのせかいなの?」
「おれがおまえの血をすってから、おまえに力をわけあたえた。おまえはもはや、おれとおなじばけものだ」
 そう言われれば、お姫さまは王子さまとおなじようなきばを口の中にもち、すばらしい黒いマントをきていました。けれどお姫さまは、それがおぞましいことだとは思いませんでした。
 だって、ずっと会いたかった王子さまとまた会えたのですから。おまけに王子さまはあの大コウモリで、自分も大コウモリのように長生きして、そうしてこれからずっと、50年も、100年もこのひとといっしょにいられるのなら、それはとてもしあわせなことだとお姫さまは思いました。
「ならコウモリさん。あなたがわたくしの血をすったのなら、やくそくどおり、あなたのいた国につれていってくださいな」
 お姫さまににこにこわらいながら言われて、王子をいつわった大コウモリの男のひとはあきれました。
「おまえの血をすってやったのは、おまえがあのままだと本当にしんでいたからだぞ。しかたなくおれが血をすってやったのに、おまえはまだやくそくにこだわるのか」
「やぶったやくそくは、あれひとつでいいじゃありませんか。それともあなたのいた国は、わたくしなんか入れませんか?」
「そんなことはない。ただとてつもなく、ひどくとおいのだ。きびしい、つらい旅になる」
 王子さまはけわしい顔で言いましたが、お姫さまはちっとも気にせずわらいました。夜なのに、太ようのような明るい、かわいらしい顔でした。
「それでもいいわ。あなたといっしょにいられるのなら、わたくし、どんなにつらいことだってたえられます」
「そう言うのなら、よかろう。おれもおまえといっしょなら、どこへでもどこへだっていける」
 そうしてしあわせなふたりはわらいあって、お姫さまがいた国をとび出していきました。

 やさしいお姫さまのおはなし。これで、おしまい。









後書き
 童話形式でアルティナちゃん貴族令嬢IFで女吸血鬼転生展開とか盛り込みすぎですねごめんなさい!
 アルティナちゃんから原作のあらすじからはずれないようにしつつ天使とか悪魔とかそっち要素を排除するとか無理じゃったよ…。

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・意味がないって悲しいことなの(メタネタ)

2012/03/27

 久々にネタ思いついたがテンポ悪いなあ……。
 あ、拍手コメントありがとうございました。返信はリクがきちんと思いついた機会にー!

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・属性添付

2012/03/28

 僕はアルティナちゃんに出会うことで眼鏡属性オッケーになりました。
 眼鏡かけてないじゃん! ってツッコミは聞きません。

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・駆け引き

2012/03/29

 こんなノリで付き合ってるのバレたら嫌だなー。

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堕天して人妻

2012/03/31

 ゲーマガ最終刊読んで社長がディスガイアも大切にしていくけどディスガイア超えるタイトル作っていきたいね! つってて、うんまあその精神はいいんだけどそれより先に堅実な商売してください具体的に言うといい加減設定資料集と追加シナリオ版サントラ出せやオラッ! ってなってますつーか最近ヒでそんなことしか呟いてませんこんばんにちは。
 ……私の読み(と言うより3の本体ソフトと関連商品の発売日の空きを場合と照らし合わせた結果)では四月始めから中ごろ発売予定なんだけどなあ……。3Rと3の出版社が上記のゲーマガちゃんのところだから活動縮小して4の設定資料集も発売延期とか立ち消えになったりしないよねとハラハラ。
 あ、レガシスタで閣下とフーカすんとエミちんDL開始おめでとうございます。来月に残り三人が来て閣下とアルティナちゃんとフェさんの大人組でパーティー組めるなら僕レガシスタ買うてまうかもしれん…。

 堕天ティナちゃん到来ネタに反応頂けたのでリクエスト応答も兼ねて続きを考えたりしたら台詞形式で通すつもりなのに思いのほかエロ展開になって(エロ描写は入れませんが)あれーどうしよーと二の足踏んでおります。
 いやもともと堕天ティナちゃんネタは結構前から考えていたネタではありまして。ヒでたまに呟いたりしてグフフ…堕天した経産婦アルティナちゃんはエロティナ最終段階やでえとか悦に浸っていたのですが実際にかたちにしようと思うとこんなの清純可憐なアルティナちゃんじゃない!! って言われそうな気もしないでもないくらいに底なしに妖艶でおかーさんでそれより以前にわたくし女でしてよ? な悪女してて…うーんどうしたもんかしらん…。
 と言うかそもそもが閣下はプリニー教育係と暴君の2パターン、アルティナちゃんは看護師と天使の2パターンが公式に存在してて(ユニットとしては片方存在してないけどさ!)、しかもアルティナちゃんのほうは近い将来堕天しそうなんですけお…な予感をひしひしと誘うもんだから堕天使ちゃんを妄想しちゃってでカップリングの組み合わせが同じふたりなのにも関わらず複数あるのが妄想し甲斐あるけど同じくらい面倒でもあり……。
 あ、けど基本的に私は閣下天使で暴君看護師ですのでご安心を。
 「肝の据わったおかしな天使」「懐かしい吸血鬼さん」な暴君天使も、「今度こそお前を守ってやる」「なんだかおかしな悪魔さん」な閣下看護師もそこそこ美味しく頂けるけど、それぞれの時代に即した相手にお手つきしないままでイチャつくとか胃が重い。イチャついてない三角四角関係とか、イチャついてる上で過去(未来)それぞれの相手ともイチャつくのはいいんかって言われたら…ええ、はい、まあ…やきもきやス(中略)グ美味しいよねとか書けないけど妄想する下劣な人間でごめんなさい……。けどNTRは駄目、絶対!
 ……私は何を言ってるんだろう。

 以下お返事です。

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