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・桃源郷へ行くために

2011/10/04

 本番はきっとみんなの心の中に(これだとヴァルアル成分が薄そうだなと思って膨らませなかった人)。

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いざないぐせ

2011/10/05


 切欠は、古い映画。
 仕事以外、取り立てて熱心に時間や金を費やす趣味もないと言う点においても似たり寄ったりなふたりがプライベートで共通できる話題は少ない。だからこそふたりの仲がなかなか発展しないのではないかとツインテールの少女は口先を尖らせるくらいふたりの会話に趣味の気配は薄く、あってもせいぜいが最近の読書傾向――無論、こちらも色気は薄い。若い身空の男女の会話で出てくる本の分類が、新書八割弱なんてそう滅多にあるものではなかろう――程度。お互いにもう少し若者らしいものを嗜むべきだろうか、勉強すべきだろうかと思ったりもするのだが、結局のところ書店に寄ったところでついうっかり仕事に関する書籍のコーナーばかりに足を踏み入れてしまうのが常だった。
 そんなふたりをして、珍しく個人的な範疇の話題で盛り上がったのがモノクロの古典名画。売れない小説家が親友からの依頼で彼の住まいを訪ねたら、相手はなんと死んでいたと人づてに聞かされ、葬式に出ればその親友について黒い噂があると軍人から聞かされる始末。そんなはずはないと友情から親友の死の真相を探るべく調査に乗り出す男の物語は、時代を経ても感じ入るものがあるなかなかの傑作なのに、幾分古いだけに観るのは映画マニア程度と言う始末。だからそれについて今更知っている相手がいると思っていなかった彼らは、互いがその映画について語れるこの偶然に大いに盛り上がった。もっと幸運なことに、ふたりはその映画の裏設定としても有名な逸話についても知っていた。
 それは『ある男が本来登場するまでの間、三度スクリーンに現れている』と言う話。ふたりとも二回までは心当たりがあるのだが、三回目がどうしてもわからないと互いに頭を捻った。しかしお互いしっかりそれぞれのシーンが記憶に残っているのかも曖昧な部分があるからその場での答え合わせは難しく、結果的にいつかふたりでその映画を観ながら答え合わせをしたいものだと願望を共有することでその会話は幕を閉じた。二ヶ月ほど前の話だ。
 それが今週になってまた話題に上るとは、正直なところ彼は思っていなかった。ただ彼女が件の映画のDVDを格安で手に入れたから、今度一緒に観ませんかと誘われたの二つ返事で受け入れて。けれどいつにしようかと具体的な話になった際、土日はそれぞれもう午後に先約があった不幸に悄然とした。そんな、またいつとも知れぬ次の機会にとの空気がどことなしに流れる中、天使の娘は思い立ったように顔を上げて、なんの気もなく言ってのけたのだ。
「では、金曜の夜はどうでしょう。お仕事が終わったあとなら、空いてますでしょう? お夕飯を用意いたしますから、是非ともうちに来てくださいな。それから、食べたあとにでもふたりで観ることにいたしましょう。解散が夜遅くになっても、翌日は午後から用件があるのでしたら寝坊をしても多少はどうにかなりますし」
 彼女の言葉に妙案だと喜んで、早速約束を取りつけた。そうして上機嫌で部屋から出て行った彼女の後ろ姿を見送ったあと、扉が閉まってから彼ははたと気が付いたのだ。
 彼女のマンションには何度か訪れたことはある。彼女と休日に顔を合わせ、外ではあるがふたりの時間を過ごしたこともある。しかしどちらも昼間の、日が沈むまでの話で、夜に彼女の自宅を訪ねるのは今回が初めてだと言うことに。
 改めて考えれば機会だった。それはもう絶好の。――何のとは問うなかれ、口にするだけ野暮である。
 第三者がこの予定を耳にして茶化しでもすれば、たちまち彼は照れ臭さもあって反発し、武士は食わねど高楊枝と腹を決めていたに違いない。しかしこの件についてはふたりの間でのみ交わされた約束な訳で、相手は気付いた様子はない。いやもしかすると今頃彼女も状況を客観的に捉えて焦っているかもしれないが、今予定を取り消すのは別れ際の裏表のない態度もあってどことなく憚られる。
 だからつまり、まさしくこれは千載一遇の好機だった。だがそれだけに慎重にことを運ばねばと、彼はうっかり浮かれてしまいそうになりながら何度も自分に落ち着けと言い聞かせた。長らくの右腕たる人狼が現れてからも何時間か挙動不審が続いていたようだが、幸い約束をしたのは火曜日なので、本番当日まで落ち着くための時間はたっぷりあった。
 激務の合間を縫うようにして、彼はあらゆる可能性を考慮した。彼女の上司や友人である小娘やその妹が訪れる可能性。結果的に仲間全員で観てしまう可能性。当日不意の事故によりお流れになってしまう可能性。そしてまた、色々と上手く行ったと思ったら土壇場で下手をしでかしてしまう可能性。全てが当日過剰な期待を抱かないようにするためであり、あらゆる場合でまずまずの落としどころを見つけられるようにするためのシュミレートだ。上手くことが運ぶ可能性は最早妄想になってしまうのでなるべく避けた。そのはずなのに何度か甘い夢を見てしまい朝から悶々とする羽目になった自分に呆れもしたが、まあ夢ならば仕方ない。彼は見たい夢を見る方法とやらを知らないはずなのだから。
 さて訪れた運命の金曜日。前日の就寝時間も起床時間もいつも通り。体調は良好。目覚めの一杯としてイワシエキスを飲もうとしたが人間の血の匂いがしたのでそれを捨て、背後から同居人の舌打ちの声を聞くのもまた日常の範疇内。
 当日仕事中にばったり顔を合わせた相手から約束を取り消されるどころかお待ちしていますと確認されて、身悶えしかけたがともかく。仕事はこの日のために多少無理に消化していたので珍しくも定時内で上がり、まだ残業をしていた人狼に旧知の知り合いとこれから飲む約束があるから夕飯はいらない、帰りは遅くなるとさりげなく伝えることに成功した。
 自宅に戻ってからは大急ぎで身支度を整え、事前に下調べをしていた専門店に立ち寄り手土産として女性好みの洒脱な瓶に入った茘枝のリキュール――彼女は飲み会の席で常に茘枝のカクテルを頼むため――を購入し、時間きっかりにマンションへ。
 気負っていたのは男だけだったらしい。こちらも定時で仕事を終えたらしい普段着のままの彼女はドアを開けるとにこりといつもの笑みを浮かべて出迎えてくれて、通された部屋もまた昼間訪れたときと大差なかった。強いて言うならカーテンが閉まっているのが新鮮なくらいで、ほかは間接照明やらキャンドルやら、ありがちな場を盛り上げるための小道具を特別に用意している気配はなかった。彼は期待するなと何度も自分に言い含めていながら実際のところ期待していた己の滑稽さを思い知らされ、そんな自分に落胆し呆れもしたがお陰で無駄な力は抜けた。以降、いつも昼間彼女と会うときの感覚で接し、手土産を自然と渡せたあと感謝の言葉も割合平然と受け止められた。
 それから暫くしてアンチョビやオイルサーディーンをたっぷり使った彼女の手によるイタリア料理に舌鼓を打ちながら酒も程々に入れて、会話も弾みつつ彼はこれだけでも十分充実したと振り返れるであろう夕餉を堪能した。
 しかし今夜の逢瀬はそれが目的ではない。
 彼女が食器を片付け終え戻ってくるのを待って、ちびちびとグラスに残った酒を舐めながら彼は件の映画のDVDのパッケージを眺めつつまたしても何度も自分に言い聞かせた。期待はするなと。また焦るなと。
 なのに現時刻をちらと確認しながら上映時間もしっかり調べて計算してしまう男心の虚しさよ。約二時間、正確にはエンドロールの時間も入れて百十分程度だろう。終わってから温かい茶でも淹れて感想を言い合ったり、この逢瀬の切欠でもある男の登場シーンについてあれこれと確認し合えば、きっとそれなりの時間にはなる。勝負はそれからだ――なんて、つい思ってしまう。
 しかしやはり、過剰な期待はいけない。迫りすぎてもいけない。相手の身持ちが堅い性格もあって何事もなく終わる可能性のほうが高いのだと、彼はアルコールがほんのり回っている感覚に浸りながらきちんと整えられた寝台に背をもたれさせつつ考える。皿を下げたあと食卓ごと取り払ったため足を伸ばせるようになった空きスペースに座布団を兼ねた誰かの残り香を漂わせるクッションが一つ、同じくクッションに腰を据えた彼の横に置かれているのをちらと眺めて。
 そうしてハンドクリームなんぞを塗りながらお待たせしましたと、いまだ酒のグラスを引き下げもせず甘辛い味付けのイワシ煎餅を携えて戻ってきた彼女に彼はまだ飲むのかとやや驚いたがそれも自宅だからこそだろうと納得し、静かに映画は始まった。
 ふたり以外の事務所の面々は全く知らないと口を揃えて言い放ってきたものだが、やはり映画史に残る名作なだけはあった。画面は白黒で音声も聞き取り難い部分があるにも関わらず、綿密に練られた脚本と今のご時世では考えられない間の取り方、目を惹きつける画面構成と主役の怪演、白黒のみで創られる映像美にふたりはすぐに飲み込まれた。
 けれど大まかなあらすじは知っているので、テレビ画面を食い入るように見つめるほどではない。目覚まし時計が上映から一時間を経過したと教えてくれた際、彼は別に勝負のときでもないのに僅かに緊張してしまったし、どちらともなくグラスがからりと音を立てるとふたりの間の空気がほんの少しだけぎこちなくなった気がした。
 クッションの位置も割合に近いためだろうか。相手が酒の肴を取った口にグラスを運ぶ動きですら、微かに漂う体臭が鼻腔をくすぐり、二の腕や肩が不意に掠れる。現時刻は十時をとっくに回っており、酒の効果もあって隣の肌や体温に意識がどんどん吸い寄せられる。
 けれど、映画に集中しなければこのあとの会話に支障が生まれる。ちゃんと観ていたんですかなんて苦笑気味に咎められたら、それで今夜はお開き、やんわり帰れと言われかねない。だから彼は必死で画面に視線を合わせようとしたのだが。
「……は?」
 唐突に、耳を触れられた。正確には耳朶を、白くてなめらかで柔らかな肌を持つ細い親指と人差し指で挟まれた。つねってはいない。ただ挟んでふに、と柔らかく潰された程度。それだけでもぞくと、驚愕と不意の刺激に背筋が鳥肌を立てる。
 どこからと問われれば無論ここにはふたりしかいないのだから隣、女が座っているほうからで、触られたまま数秒ほど固まっていた彼はすぐさま我に返って首をそちらに向けると、そこには当然天使の娘が三角座りで座っていた。こちらに腕を伸ばし、手は男の指を耳朶に絡めた格好を作ったまま。
 男のほうに手を伸ばしたのは無意識だったのか、いつもと違ってとろんとした目付きの彼女はグラスの中身で唇を潤すと頬をほのかに紅く染めたまま画面を観ている。しかし内容はしっかり頭に入っているのか甚だ疑問を抱かせる危うさも漂っており、暫くこのままにすれば瞼を閉じて眠りの世界に落ちかねない。
 これはまずいと悟った彼は、相手の手からグラスを掻っ攫うと同時に彼女の名を呼んだ。
「おいアルティナ、どうした?」
 両方の動作はきちんと彼女を覚醒に導く効果を発揮したらしい。ゆっくり瞼が三度か四度青い瞳を覆い隠しては見せる動作をすると、正気の光を瞳に宿した彼女は自分の両手の異変に気付いて先とはまた別の意味合いで頬を赤くして口元を隠した。
「え、あ、やだ……わ、わたくし、とんでもないことを……!」
「い、いやとりあえずはその、落ち着け」
 映画はもうすぐクライマックス。厳粛な空気の中、病院で看護師たちがベッドを巡回しているシーンが流れているにも関わらずふたりはそちらよりも互いに軽く向き合る。特に彼女はすぐさまクッションの上に正座して、まず相手に深々と頭を下げた。
「ええと、あの……申し訳ありませんでした、ヴァルバトーゼさん……。わたくしったらつい、いつもの癖で……」
「癖?」
 畏まっているせいか普段から華奢な印象の肩がもっと細く見えたが、そちらよりも意識を向けさせる新情報に軽く目を見開いた彼へ、彼女は俯いて顔を上げないままこくりと頷く。だがその俯き隠された表情こそを、目にしたいと強く願ってしまうのはきっと男として間違ってはいまい。
「……眠くなると出てしまう癖ですの。いつの間にか、ひとの耳朶を触ってしまって……」
「だ、だがお前。飲み会ではそんなこと一度も……」
 していなかったではないかと言いかけて、彼は更なる事実に気付いた。飲みの席の終盤にもなると、大概彼女はいつの間にか横になっていたり目を瞑っていることが多い。つまりとっくに眠ってしまっていて、眠気に苛まれている彼女を見るのは今回が初めてだったのだ。
「フロンさまや天使の先輩がたにはよくしてしまう癖でして……。い、一応職場での席ですと、いつもは我慢していますのよ? けれど、あの、今日は自宅ですし、あなたとふたりきりですし、それで、その……」
「ああ、まあ……油断していたと……」
「はい……。その、本当に申し訳ありません……」
 正座をしていることもあってか、またしても土下座の深度で頭を下げられかける。しかし彼女にそんな態度を取ってもらいたくない彼は、華奢な肩にそっと手を添え詫びを阻止し、顔を上げるよう導いた。ぎこちなく持ち上がる首から上、戸惑い交じりのかんばせは確認するまでもなく申し訳なさそうだが、そんな表情に彼の胸は場違いなほど高鳴ってしまう。
「……まあ、あれだ。驚きはしたがそこまでお前が恐縮することはない。気にするな」
「気にするなと言われましても、ご迷惑でしたでしょう?」
「驚いただけだ。……あー、あと、その、な」
 言うべきか言わざるべきか少し迷ったが、彼女を安心させるためにもここはやはり素直にもう一言付け足そうと判断したはいいものの、その言葉を吐き出そうと意識した瞬間、急激に彼の喉と舌がもつれる。自分でも少しずつ顔が赤くなっていく自覚があったが、それでもこんな言葉くらい言ってしまわねばと勇気を奮い立たせ、怪訝な表情を浮かべる娘に向かって彼はようやく一声。
「……わ、悪くなかった」
「はい?」
「お前に、その、耳でも触られるのは……。悪い気は、しなかった」
「は……」
 ぽかんと口を開けた天使の娘は、言葉の意味を脳にまで到達させると今度は耳まで赤くして俯く。彼もまた赤面していたが、それでも彼女の表情を見たい気持ちが強くて俯くのはどうにか堪えた。
「……ななっ、何を、急に、そんなっ、下手な慰めなんかなさらないでっ!」
 裏返る声の可愛らしさに、胸が切なく締めつけられる。自分より動揺が酷い人物が眼前にいるせいか取り乱すこともなく、彼は心音が次第に大きく激しくなっていく感覚に身を委ねながらも舌の緊張は解れていく不思議を体感しながら首を振った。
「慰めるつもりはない。事実だ」
「そんな、そんな……。たとえ耳とは言え、殿方を相手に、はしたないこと、でしょう」
 天使のもとで育ったからこそだろう貞操感の強い言葉に、しかし何よりも彼女らしさを感じて彼は喉の奥で笑う。自然と、太股に置かれぎゅうと握られたままのこぶしに自分の手を重ねられた。いつも、触れるだけでも緊張してしまうそれに、今回ばかりは優しく。
「癖なのだろう。ならばはしたなくなどない。……お前が俺の隣で気が緩んだ証があれなら、むしろ嬉しい」
「……そんな、こと……」
 こぶしは戸惑っているようだった。彼の言葉を信じたいようで、けれど無意識に異性に自分から触れてしまった自分が許せないのか。許してしまえと、彼は思ってしまう。しまうついでにもう片腕が動いた。
「アルティナ」
「んっ……!」
 桃色の髪を掻き分けて、熱を持った耳朶を親指と人差し指で挟む。自分のように尖っていない、丸くて綺麗でやや小振りの、福耳とは程遠いがちゃんと柔らかい感触は、成る程触っているとつい癖になってしまうのも納得だった。
「……これで俺も同罪だ。お前が気に病む必要はなくなった」
「ヴァルバトーゼさん……」
 名残惜しくも指を離して囁くと、ようやく彼女の顔が正しい位置におずおず戻る。酒が入っているせいでもあるのだろう、清浄な湖を思わせる目元は不自然なまでの潤みを湛えて輝き、彼の心に更なる切なさと形容しがたい衝動を湧き上がらせる。もう、堪らなかった。
「アルティナ……」
「……あ」
 今度は頬に。繊細なものに触れるように指を這わせ、小さなおとがいを自分の顔の位置へと導く。いつの間にか重ねていた手は細い腰に移り、彼女の身体を優しく甘く拘束していた。それに女は抗わない。抗えない。
 互いの顔がゆっくり近付いていく。茘枝の香りがほのかに彼女の体臭に混じり、ならば自分の口にしていた焼酎が同じように相手の鼻腔に届いて、不快な気分を催させてしまわないかと僅かに不安を抱きもしたが勢いは止まらなかった。
 そうしてようやく、体温が、肌が、皮膚が重なる瞬間に――。
 響くチターの高らかな音色。
 不意に硬直したふたりは聞こえた先に首をやる。当然、テレビ画面からのもの。映画のクライマックスが、もう始まってしまったらしい。
「……そうか」
 しかし気持ちが昂ぶったままの彼は、手に届く範囲に置かれていたリモコンの停止ボタンを押してテレビの電源も切ると改めて彼女に向き直る。我に返った顔をしていた彼女もまた目を瞬いていたが、彼の無駄のない動作に仕方ないと言わんばかりに苦笑を浮かべ、大人しく彼の腕に抱かれたままでいて。
 それでも流れのままにことを成すのは礼を欠くと思ってしまった彼は、緊張してしまうものの改めて彼女を見やり、その意思を確認した。
「……その、いいか。アルティナ。続きを、してしまって」
 暫くの沈黙と躊躇の間を置き、小さく、細い首が動く。
「…………はい」
 了承の返事を耳にした安堵と感激に、彼は肺の底から息を吐き出す。そして今度は甘い雰囲気が薄く緊張感が強いものの、やはり瞼を閉じて互いに唇を重ねた。静かに――優しく――柔らかく――甘く――。
 舌を入れるまではいかない。そこまで行くと彼女が驚き、悪い意味で身体に篭ったぎこちなさを蘇らせてしまいそうだから。
 けれどその感覚に浸りたいくらいには唇だけの触れ合いは心地良くて、理性がゆっくり蕩けてしまいそうで、酒からは得られない、とろんとした快感はやはり堪らなかった。
 このままずっと唇だけの触れ合いを続けていれば相手のありとあらゆるところを触ってしまいそうで、それは彼女に許される行為なのかそうではないのかわからない。ただまあ、分別と称される最後の理性の欠片は彼にも残っていた。
 脆い銀糸がふたりの唇を未練がましく繋ぐこともなく、熱い吐息が肌を撫でるのみで触れた箇所がゆっくり離れていく。手を重ね合うよりも接触面積は少ないのに、頭の芯からぼうっとしてしまう初めての不可思議に酔い痴れたままらしい彼女の無防備な表情を視線で愛撫しながら、彼は低く囁いてやった。
「眠気がまだ残っているようなら風呂にでも入れ。上がるまで待つ」
「……あ、汗臭い、ですか?」
 上擦る声のか細さにいいやと喉の奥で笑って、彼はその背と羽をゆっくり撫でた。親指が付け根に触れてしまったせいだろうか、ぴくりと柔らかな肩が反応を示す。
「心の準備は必要だろう。……その、お前にも俺にも」
 照れ臭さがぶり返しそうになりながら告げると、彼女も彼が緊張しているのだと理解して頬を赤く染めていながらもくすりと笑い立ち上がる。言われた通り、シャワーでも浴びるつもりらしい。箪笥に向かってタオルやら何やらを引っ張り出しているようだが、そこまで見てしまうのはいくら何でも憚られて、彼はきちんと視線を外してやった。
 それから柔らかな足音と、丁寧にドアが閉まる音を耳にして、彼は尻ポケットに入れていた携帯電話を取り出す。よもやとは思ったが、ここでこの手を使うとは全く考えていなかった。しかしこの操作とこれから待ち受けるであろう冷やかしを克服せねば、そもそも今夜は彼女と一緒に朝まで過ごせないのだからやむを得ない。
 普段ならば手馴れたはずの短縮ダイヤルを液晶画面に出すことさえも躊躇いはしたが、背中のほうから聞こえてくるシャワーの音に勇気を奮い立たせて彼は通話のマークを押す。四回コールが続いたあと、まさしく旧知の知り合いの声がスピーカーから聞こえてきて、彼は生唾を飲み込んでからさり気なさを意識しつつ声を放した。
「……俺だ。急にすまんが、お前に頼みがあってな……。その、俺の自宅に、今夜は俺は帰れないとの電話をかけてほしいのだが……」
 予想通り、世帯者の余裕たっぷりの笑い声と冷やかしを大いに浴びせられたものの、結局のところ彼はその夜、幾つかのことを学んだ。
 例えば天使の娘の寝間着は厚手のワイシャツと下着だけらしいこととか。例えば幼い頃に出会った少女と不意に別れることになってしまったあの日、彼女が具体的にどこに暴行を受けたのかの痕跡とか。例えばその晩、組み敷いた女の弱いところとかどんなことが好きなのかとか。例えば生まれて初めて誰かと添い寝しても、案外どころかしっかり眠れるらしいこと、とか。





後書き
 腐れ縁の友人が眠くなると人の耳朶を触ってしまう癖があると聞いて、「ないわー」って反応をしたら「ええー、これ二次元でやったらかなりいい感じよ?」って言われて書いてみたらマジでいい感じで話が転んでイラッと来ましたとさと言うお話。
 ちなみに古い映画は『第三の男』。まあ名作には違いないが若い男女が観る映画ではない。

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・臆病な天使たち

2011/10/06

 愚作「酒が悪い」を先に読んでるといいかもしれない。かもしれない程度の話ですが。

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犬猫の仲

2011/10/08

 帰路の途中にすすきの生い茂る空き地がある。何年前だったか、確かほとんど廃墟だったアパートがついに取り壊された跡地で、しかし誰もこの土地を買う気がないのか地主が転がすだけにしたのか単純にいなくなったのか。真偽のほどは不明だが、更地にして以降全く次の建物が立つ気配もなくて放置された結果がこれ。
 繁殖力も生命力も抜群に強いよもぎを始めとする臭いの強い雑草が生えなかったのは一通行人でしかないが鼻の利く彼にとっては幸いと言うべきで、毎日外出する際にきつい臭いばかりを嗅がなくてもいいのは素晴らしいことだと、別のルートを通ってよもぎの茂みに出会した際、心底思ったものだ。――言い換えれば最も無臭に近く安全に利用できるのがこの道筋となった。
 そうしてこの空き地では、よく猫の、寝子猫族ではなく魔力のないあの哺乳類の四足動物の鳴き声を聞く。ここからでは見えないが空き地のどこかにまたたびでも生えているのか、野良猫がすすき畑の奥に入っていく姿を頻繁に目撃したし、春秋には盛りの声も耳にする。当然、雌を狙って取っ組み合う雄の威嚇の声もまた。
 だから今日、珍しく早めに仕事を終えられた人狼がこの時間帯ならのんびり帰るどころか一旦自宅に帰ってからでも最寄りのスーパーのタイムセールに間に合うだろうと思って件の空き地を通ったとき、一際目立つ猫の鳴き声が聞こえたときも、当初はあまり気にしていなかった。
 ただ猫にしては妙にはっきりとした発音で鳴いたそいつが、猫の鳴き声であるようで鳴き真似のような曖昧な声だったからふと違和感を感じ取ったのは確か。更にその鳴き声に足を止めた彼は、よしよしと、今度こそひとの、しかも女のものであろう声を耳にして振り返った。
 何故と言ってその女の声が、男にとっては不倶戴天の忌々しい天使――相手にとっての彼は同僚の一人にして、『約束のひと』の幼い頃からの僕くらいの認識なのだが――のそれそのものだったから。
 この機会を逃す人狼ではない。瞬時に携帯電話を取り出しタッチパネルでボイスレコーダー機能をいつでもオンにできるよう操作し終えると、もう一度鳴けと願いながらすすき畑にゆっくりと近付いていく。
 願いが通じた訳ではなかろうがまた件の女の猫の鳴き真似が聞こえて、よしと親指に力を込めようとした青年はしかしここではなくもっと近くでこの鳴き真似を録音すべきと思い立ち、その通り声の主が丁度背中を向けるくらいの位置から、とうとうすすき畑に足を踏み入れることとなった。
 一面にすすきが生い茂っているかと思いきや、案外そうでもなかったようだ。手探りで独特の柔らかさを持つ葦をかき分けた彼は、その壁が予想以上に厚みがないことに驚きつつもよっこら大きく一歩進んで、すすき畑の向こう側をすすきが茂って以降初めて目にした。
 予想通り、そこは猫の集会としては持ってこいの場所だったらしい。障害物が全くないため風通しの良い広々とした空間に、こちらも廃墟同然の隣の家のブロック塀にはまたたびが生い茂っていたがもうとっくに堪能したのかその前でだらんと寝転ぶ猫はいない。更地だったはずのそこはやんちゃな子どもだの反抗期のガキだのが秘密基地にしたり集会場にしたりの痕跡が色濃く残り、今は持ち込んだ未成年たちも秘密基地に飽きたのかたまたま持ち込んだ連中が不在なだけか、がらくたのあらゆるところに野良猫どもが鎮座していた。しかもここが自分たちの縄張りなのだからと不遜な態度でこの場では新参ものの人狼を見下ろし、警戒心を露わにしたり素知らぬ振りを装いながら髭をぴんと立てたり何気なく場所を移動したりと猫なりに緊張感を滲ませる。
 しかしそんな中でも、空気の変化に流されない一角とひとがいた。
 その人物はこの界隈ではとんと見ないはずの、小振りでもしっかり輝く純白の天使の羽を持っており、普段はその羽と羽との隙間を埋める桃色の太ましい三つ編みを土が付かないようにするためだろう手前のほうへと手繰り、屈み込んで野良猫の蚤を取ってやっているらしい。櫛で丁寧に梳いては、傍らに置いた洗剤と水を混ぜた瓶に抜け毛と一緒に放り込んでいく。毛を梳かれている猫は気持ちが良いらしく、ぐるぐると低い唸り声どころか時折ああ、そことでも言わんばかりに甘い鳴き声を漏らす。それに。
「なぁん」
 女はつられるように鳴いた。機嫌が良さそうな一声は、鳴き真似として聞けばなかなか上手い。まあ、彼にとってはそんなことどうでもいいが。
 野良猫たちは天使の女を少なくとも人狼の青年より慣れ親しんだひととして認識しているらしく、彼女に向かってまだ若いのがぴゃっと素早く足下に飛び、にゃあにゃあなごなご必死に喋りかける。自分のことを伝えようとしているのだろうと思うくらいに現状を把握した彼は、録音についてふと思い出す。
「にゃ~ん? どうしたの、あなたの番はもう少し後よ?」
 女は侵入者を知らせに来た野良猫の顎を撫でてやるが、そいつの意図にはまだ気付かない。違うそうじゃないとでも言いたげに、けれど顎が撫でられるのが気持ちいいのか甘くも苦しげな声を漏らす若いのに、彼女はおかしそうな笑みを転がしながらまたしても鳴く。
「んー? ふふ、ふなぁーお? まーお、なぁーご、あー……お?」
 と最後でようやく男のほうへと振り返り、それまでにや下がっていた頬を一気に強張らせた。彼の位置からでもひく、と口元が引きつるのがわかる。
 青年は何も言わない。言わないまま録音を切り、音量を最大にしてから再生し、女のほうへと携帯電話をかざす。聞こえてきたのは勿論ながら、若い野良猫が彼女のもとへと駆けつけて以降の甘ったるい猫撫で声で。つまり思惑はこれで成功したことになる。
「ではオレはこれで失礼する」
「っっっ! ちょっと、お待ちなさい!!」
 あっと言う間に耳まで真っ赤にして声に剣呑な響きを伴い叫んだ彼女に、ブラッシングをされていたのやら知らせに来たのやら、ともかく女の周りに屯っていた野良猫たちが飛び上がる。ほかの猫たちもまた同じく、そちらに耳をやったり視線を向けたりしたのだが、女は周囲に気を配る余裕もないようだ。汚れの少ない場所に置いていたらしいオフホワイトの皮の鞄から多少型の古い携帯電話を取り出し、とっ組みかかって何らかの操作をしたあと昂然と、憤懣の表情のままそれをこちらに掲げる。
 相手の眼光の鋭さにまだ何を聞かされるのかもわからない現時点で、不意に彼の豊かな毛髪が微かな予感を覚えて静かに逆立つ。予感、とは勿論いやな方向の。
 予想は正しかった。暫くして天使の女がかざした携帯電話から聞こえてきたのは、いつぞやか伏魔殿に押し入った際、主のために一芝居打ったときの言葉を更に編集したもの。低い男のもので気のない、にゃーにゃーと寝子猫族の鳴き真似をする声のみが聞こえてきて、しかし何度も繰り返し再生されると猛烈に恥ずかしくなる音声データに、声の主たる青年は派手に舌打ちしてから唸った。
「貴様ッッ、あの状態でそれを録音するかっ!?」
「わたくし、基本的に任務中の重要な出来事はこうして録音しておきますの。何かの拍子で裁判沙汰になってはいけませんからね?」
 任務のためとは言え業突張りが非常にさまになっていた冷たい天使の言葉は、成る程、単身で悪魔の住まう地域に足を踏み入れるだけの勇気と強かさと用意周到さが彼女の中にあることを何より明確に示していた。しかしそれで脳天気に感心するのは他人よろしく傍観者であって、今の今までその音声を密かに入手されていたが特に利用されず、今この場で切り札として提出された屈辱的な事実に人狼は大袈裟なほど歯軋りする。
「……くっ、そいつでこいつを帳消しにしろと言うことか?」
「そう受け取っていただいても構いません。ただわたくしもこうして……、あなたと対等な立場であることを認識していただこうと思っただけですわ」
「はん。もっとはっきり、弱味を握っているもの同士と言ったらどうだ? 貴様のその半端な善人気取りはいつ何時でも胸糞が悪くなるな!」
「ではそう申しましょう。けれど、これをあなたのそれで帳消しにするかどうかは、わたくしの胸先三寸ですわよ?」
「脅すつもりか? 今この場で消しても、よそにそいつの複製データを保管していると?」
「あら、妙案ですわね。考えておきましょう」
「そんなことを言っておいて、既に取ってあるんだろう。貴様はそう言う女だ」
「決めつけはよろしくなくてよ狼男さん? 嘘から出たまこと、藪から棒、身から出た錆、なんて諺もあることですし……」
「貴様……!!」
 ちなみにこの緊迫感漲る対立を見せつけられた猫どもは、もうとっくに興味を失ったらしく、既に二人をいないものとして取り扱い平時の空気に戻りつつあった。まあブラッシングの途中だったり特に女に懐いているのは、彼女の足下で話が早く終わらないかとばかりに待ちぼうけていたがそいつらだって会話に全く興味を持っていない。
 その中の一匹があまりにも退屈だったのか。ストッキングに包まれた細い脚に小さな頭を擦り寄せて頭を掻けと強請ったため、彼女は気合いを多いに殺がれて緊迫感たっぷりの視線を和らげる。無論、視線での戦いはこれにて一旦お預け、勝敗は付かないと二人は覚った。ついでに頭も冷めてきたらしく、女は落ち着いた声で一つ取り引きを掲げる。
「……もしあなたの言葉通りだとしても、この場であなたがそれを消して下さるのでしたらわたくしもそうしますわ。悪魔の方々の弱味を晒していつまでもそれを握っているなんて、天使としてあまり良い趣味だとは思えませんしね」
「勝手に悪魔の弱味を握っておいて、それをひた隠しにしていた天使はそもそも良い趣味とは言えんだろうが」
「保険と仰ってくださいな。あなたがそれをわたくしにわざわざ聞かさなければ、わたくしだってあなたにこれを聞かせませんでしたのよ?」
 どうやら天敵の弱味を握って浮かれてしまい、ついぞ相手に勝利の証を見せびらかしたのがこの場での失態らしいと知らされて青年は深々と嘆息する。後ろ髪を引かれる思いはいまだ強いが、ここは引き下がるのが得策のようだ。
 苦々しい顔を隠しもせず、猫の頭を掻いてやる女に近付いていくと、彼は手中に収められたメタリックな銀のケースに赤い狼の横顔が描かれた携帯電話を投下する。
 きちんと両手でそれを受け止め自分で消せと本体を寄越された彼女は、少し戸惑ったらしいものの小脇に抱えた白いケースにそれぞれ濃さの違う桃色のラインストーンが可愛らしい、天使が着用する帯模様のものや、紺の天鵞絨のリボンのストラップが着いた携帯電話を同じく彼のほうに掲げた。
 それを無言で奪い、音声データを一度一瞬だけ確認した青年は躊躇いもなく目的物を消す。そうして当然携帯電話をすぐさま返す――のではなく、別名で複製データが残っていないかとフォルダの中を漁り始めた。着信履歴やメールフォルダに直行しないだけ、本人としてはまだ最低限の礼儀を弁えているつもりだ。
「……お前。猫のくしゃみ寸前の顔ばかり撮ってどうするつもりだ」
「勝手に人のプライベートを見ないでください!」
 タッチパネルの操作に難儀していたもののこちらもどうにか消去し終わって、ファイルを一つ消すにしてはやたら操作が長い男に訝しげな視線を送っていた彼女は、合点が行ったと同時に悲鳴に近い声を上げて奪い返そうと立ち上がる。が、当然そんな反応を予期していた人狼は間合いを開けてそれに身構える。携帯電話のディスプレイにしっかりと視線を注ぎ、とあるファイルに眉をしかめる余裕まで見せつけて。
「あと鏡を使ってまで自分の背中を撮るな。他人の趣味にどうこう言う気はないが、ナルシズムの痕跡は流石に見ていて気分が悪い」
「それは背中の吹き出物の確認でっ……って、ああもう!」
 女の努力の痕跡まで見られてしまった彼女は一歩相手のほうへと足を伸ばすも、すぐさま開けられる間合いから相手が満足して渡しに来るまで奪い返すのは難しいと断念したらしい。自らもまた彼から預かった携帯電話のデータフォルダを四苦八苦しながら探り始め、そうして間もなく割合本気でこの男のプライベートに退く羽目になった。
「……あの、狼男さん」
「何だ。……駄菓子と草と花と石は何の暗喩だ」
「暗喩ではなく、それは単に伺った先の男の子と遊んだら帰り際その子がくれたもので……ってそうではなく。あの、さすがに吸血鬼さんの寝顔の写真があるのはどうかと思いますわよ?」
 彼ら二人に最も大切な人物として共通している黒髪の吸血鬼が、普段の凛々しい態度とは裏腹に涎を垂れ流して眠っている横顔の写真を真っ先に発見してしまった女に、しかし彼は何ともない顔でいまだ携帯電話を離さないまま言ってのけた。
「背景をよく見ろ、閣下が突っ伏しておられるのは卓だろうが。それは単に小娘が俺の携帯を使って勝手に撮ったものだ。消すのも面倒だから残っているだけで」
「なら消して差し上げましょうか?」
「好きにしろ。……お前ヒトはまったく撮ってない上に音楽までボーカルなしか。実は人間嫌いじゃないのか?」
 別途プレイヤーを用意しがちであるため昨今の携帯電話の中でもあまり使用されない機能である音楽プレイヤー用フォルダまで見られてしまい、ついに彼女は声を裏返す。
「そこまで見ます!? ……あなただって桜とか紅葉とか藤とか撮っておられてばかりでヒトは殆どないじゃないですかっ! あとクーシー!」
「うむ。クーシーはいい、心が洗われる」
「つまりそちらは吸血鬼さんの公認趣味ですのね……あら?」
 ここで天使の女が何を見つけてしまったのか、彼は知らない。以前、職場の飲み会であの生意気な元人間の小娘にいつの間にか携帯電話を奪われた経験から、他人に見られてまずいものは残さないよう心がけている青年にとって、後ろめたい思いをするものなんてないはずだからだ。
 しかしそれでも彼に消せない写真はあった。永らく世話役兼忠実な僕としてこの人狼が付き従っている吸血鬼が、眼前の天使の女と同じく最新鋭の機械の扱いに少々疎いあの悪魔の青年が、この携帯電話を使って撮ったもの。生まれたばかりのクーシーの仔の下の世話を、人相が変わるほどにや下がってやっていた己の姿の写真なぞ普段なら瞬時に消すのだが、小娘に見つからなかったこともあり悶絶するほど葛藤した結果、記念にとやはり残したのが一枚。
「……まあ、これは」
「返せ」
 すぐさま蓋を閉じ、間合いを詰めて本来の持ち主に携帯電話を突き出す。相手は大人だ。彼の態度に自分が見てはいけないものを見たと理解して、無言で男と同じ動作を取ってくれた。それでも注がれる生温かい視線に神経を逆撫でされ、これでまた自分から墓穴を掘ってしまった気もするがまあとにかく。
「……で、お前はここで何をしている。野良猫の蚤取りなんぞ、どこからも金が入って来ないはずだが?」
 自分でも無理やりの自覚があったが耐えきれずに携帯電話を仕舞って話題を変えると、女もまた自分が見たものに対して記憶に蓋をするつもりでいてくれるらしい。足下に絡みついてくる野良猫をうりうりと優しく掻いてやりながら、普段と変わらぬ柔和な笑みを浮かべた。
「一応わたくしだって慈善活動くらいはいたしますわ」
「ヒトではなく猫のか」
「ええ、ほとんど趣味ですけれどね。うちのマンションはペット禁止ですから、たまにこうしてこの子たちのご機嫌伺いをしております」
 間接的に彼のクーシー関連の趣味と相違ないと知らされて青年は納得する反面、半端な絡み方だと皮肉たっぷり含んで笑い飛ばす。
「なら去勢をしてやってはどうだ? 野良猫どもが無秩序に増えるのはどこのどいつも得をせんしな」
 春秋によくそんな鳴き声を聞くこともあり真っ先にその提案を思いついた彼は、自分の発言を受けて相手が動揺してからそんな可哀想です、なんて非難と偽善に満ちた言葉を返すのを僅かに期待していた。だが次に彼女がほろ苦く笑いながら漏らした言葉に、反対に小さく目を見開かされる羽目となった。
「していますわよ。わたくしの一存ではなく、この界隈の野良猫について把握されている先輩がたと相談し、手術費を出しあってですけれど」
「…………」
 趣味の範囲内だろうに地に足の着いた思考と相応の背景を伺わせる彼女の回答に、青年は何も言わず鼻白む。――やはりこの女は好きになれそうにない。ひとの神経を逆撫でする偽善者の癖に、現実的に物事を捉えて単なる甘っちょろいだけの娘ではないと暗に主張してくるのは、自分のどうせこんなものだろうとの予測を事前に先回りした挙げ句鮮やかに対応されたような感覚を味わわされるからだ。
「ひとの都合で、種としての本能を潰すのは申し訳ないと思います。けれどこうして関わっている以上、いたずらに命を増やさせ、そこから生じる問題を見て見ぬ振りをし、近隣の方に不快な思いをさせるのもどうかと思いますもの……」
 物言いは穏やかさを保ったまま、しかし野良猫たちにとっては厳しく覚めた言葉を選ぶ女の指先に甘えた猫の股がぱっかりと開いた。雌猫の可能性もあるのだろうが、今まで尻尾で隠れていたその猫の股間には、まん丸としたふぐりはない。
「勿論、子猫は好きですし、可愛いと思いますわ。ですけど生憎、わたくしは子猫を見つけては獣医さんに連れて行って予防接種をしてお手洗いの躾をして、新たな里親を探せるほどの人脈やお金や時間はありませんから」
「実に模範的な意見だな。面白みの欠片もない」
「ついでに可愛げもありませんでしょう? いただき慣れておりますから、そう言うご意見は」
 余裕たっぷり微笑でかんばせを輝かせる女に対し、そうだろうなと彼も遠慮なく嘲笑を飛ばす。それで話を終えるつもりでいた青年は、そう言えばと天使の側から会話を引き延ばされることに多少意外な気分になった。
「狼男さんがお飼いになられていらっしゃるクーシーたちは、そちらの選択肢は視野に入れておられますの?」
 彼の携帯電話に収められた数々の写真から推測したのだろうが、それは違うとここは正直に首を横に振る。
「オレも飼ってはいない。知り合いの魔物使いのツテで一定期間、世話や躾を任されているだけだ。去勢するかどうかは向こうが決める」
「成る程。だから日付と成長具合がばらばらでしたのね。随分と沢山飼っていらっしゃるみたいでしたけれど、どうやって小屋や生活スペース諸々を解消するのか疑問でしたの」
 合点したらしく深く頷く天使の女は、一定期間ですかとしみじみ呟いたあと、苦いような羨ましいような悲しいような、どうとも表現に難しい笑みを滲ませた。
「けれど、それは犬科だからこそできるお話ですわよねえ。猫もブリーダーはいらっしゃるのでしょうけど、野良の雑種となると……」
 軽く顔を伏せ語尾を濁す女の言いたいことは、彼としてもわからなくはない。もとより野良猫なんぞはヒトの身勝手が生み出した存在だ。愛着を持てば持つほど、ヒト側の責任の重さも思い知らされる。
 愛犬家と言われて否定できない程度に他の動物へ情を注ぐ男は、同じような情熱を猫に注ぐこの天使に、普段なら持たないはずの気持ちを少し、ほんの少しだけ持ってしまう。とは言え、真っ向から慰めようだなんて気は逆立ちしたって湧いてこない。代わりに口をついて出るのは、当人としては極めて現実的な、けれど珍しく冷たさも険もない言葉。
「お前は金と時間を割いてまで野良猫どもの世話を見ようと決めた。オレは労働としてクーシーの躾も含む世話をする機会を得たからそれに乗った。どちらも最終的にそう選んだのは自分の意思だ。そう言うものだと割り切るほかなかろうよ」
「ご尤もです。けれど狼男さんの場合は、運も相当によろしいと思いますけど?」
 そんなところで羨ましがられても、正直なところ彼はあまり、どころか全く嬉しくなかった。何せ彼女の悪運強さは、言葉通り神の寵愛だの先輩であろう天使どもの加護を一身に受けているのかと思わせるほど。実際に信心深さでその強運を手に入れたのだとしたら、悪魔であるにも関わらず男はかなり躊躇しただろうがどうせこの女の運気は生まれ持ってのものに違いあるまい。
 しかしこの惨めな心境を、忌々しい相手に吐き捨てられるほど人狼は彼女に気を許していない。だから次に男が取った行動は、幼稚な自覚あっての空威張り。
「当然だ、運も実力のうちと言うしな。貴様にその手の巡り合わせがなかった不運と実力を、せいぜい悔やむがいい」
「はいはい、そう致します」
 女は彼の自慢げな態度をやんわり受け流しまさしく面白みのない反応を寄越すが、ならどんな態度を取られれば嬉しいのかと第三者に訊かれたとしても彼は具体的な想像なぞ浮かばないだろう。そもそも隠し事をしていた時分と違って今の天使が、自分の言葉に劣等感を示したりしょげる姿がまず想像できない。そんな反応をされてしまえば、何かおかしなものでも食ったのかとこちらが身構える可能性のほうが高い。
 どうせこの女とのやり取りの果てなどそんなものなのだ。毎回無防備な隙を見せるから容赦なくそこを突いてやるも、結局のところそれは罠で相手は無傷な上にこちらがとっ捕まえられ、勝利の手応えなどろくに感じず、暖簾に腕押し糠に釘打ちとばかりに無駄な時間を作らされる。
 それを存分に学んでいるはずなのにやはり学習しない己に男は呆れ、ついでにそれにも慣れてしまいつつある自分に心底うんざりしながら踵を返す。腕時計に視線を落とすと、時計はスーパーの勝負の時間が近いと伝えてくれた。
「……家に帰る余裕はないな。貴様のせいだぞ」
「何のことです?」
 苦い顔で軽く振り返り言い放つと、いまだ猫と遊んだままの女がきょとんと見上げてくる。脳天気な反応に、ますます苛立ち彼は考えなしにも教えてしまう――そうも詰めが甘いから勝利の手応えを感じないのだろう、と思ってはいけない。
「タイムセールの品を吟味できる時間がなくなった。これで目当て品を取れなければ貴様のせいだ。賠償金でも請求してくれる」
「八つ当たりは止してくださいな。そもそも、あなたがここで時間を潰されたのはあなたの企みあってのものでしょう。ちなみに何を狙ってましたの?」
「トイレットペーパーと玉葱と新生姜、……っておい待て」
 ここではたと彼は気付いた。後の祭りと言えるくらい手遅れなのだが、それでも当人はまだ手遅れではないと判断してしまう辺り、往生際は実に悪い。
 対する女はちゃっかりしたもので、懐いてくれる猫たちに別れを告げるように一撫でしたあと蚤取り用の櫛や瓶を専用の密閉できるビニール袋に入れて防水加工が施された布袋に入れてそれを更に皮鞄に入れて、肩にかけるとそれでもうここから離れる準備が完了していた。
「なんです?」
「どうしてお前にそれを教えなければならん! ついでに何故ここから離れようとする!」
 毛が逆立つまでもなく悪い予感から犬歯を剥いて叫ぶ人狼に、しかし女と野良猫たちはしれっとした様子で驚きもしない。天使はともかく猫どもまで飛び上がることもなく欠伸さえ漏らす始末なのは、幼い頃から鉄火場に身を置いて長いはずの彼としても内心それなり傷付いた。
 眼前の相手はそんな繊細な男心を汲み取る気などさらさらないようだ。静かに瞳の奥に宿る炎を揺らめかせ、全身に少しずつ気迫を漲らせていく。タイムセールなる言葉はそれほど女を変貌させる魔法の呪文であるらしい。
「あらあら、せめてもお詫びにご一緒して差し上げようと思っただけですのに随分と酷い言われよう」
「どこが差し上げようだ! 貴様、思いっきり自分も行きたいだけだろうが!!」
「ええ、当然ですわ。ですけれど、あなたの獲物を横取りするほど野暮ではありませんからご安心を」
 言い切ると、急いでいるはずなのに相手を睨みつけたままここから一歩も動こうとしない男の腕をちゃっかり引いて、天使は青年と一緒にすすき畑から道路へ出た。
 不意を突かれて腕を引かれたことも含め、一連の仕草の流れるようななめらかさと柔軟性は猫めいており、きっとこの女の野良猫どもへの感情は愛玩と言うより同類の気安さなのだろうと半分以上呆れながら彼は白い手を振り払おうとしたところで、同時に彼女が身を離す。ますますもって憎たらしい。
「さて、立ち往生もなんですからとっとと参ることにしましょう」
「……貴様」
「なにを拗ねていらっしゃるんです。お目当てのものがなくなってもよろしいの?」
 最後の言葉に彼はようやく目的地に向かう気になって、この女に背中を押されるのは非常に不愉快ではあるものの、進行方向に歩を進めることにしたのだが。
 当然ながら、その後ろにはあの天使がついてきた。彼からつかず離れずの距離を取り鼻歌まで歌って、随分と機嫌良さそうだが生憎とそれを聞かされている側は逆にこの上なく神経に障る。
 勢いよくそちらを振り返り睨みつけるとあっさり鼻歌は止めたが、足取りは止まろうとしない辺りどうあっても同行する気なのだろう。――この結果を事前に知り得ていたのなら、鳴き声程度で足を止めなかったのにと人狼は心底悔いたものだが、それこそ今更遅い話である。

◇◆◇

「……で。そのあとあいつと買い物をして散々レジに何度も並ばされたと」
「はっ」
「そうして迷惑をかけた分、茶でも馳走すると言うあちらの誘いを蹴ってお前は帰ってきたと。……それでいいな?」
「全て閣下の仰る通りでございます」
 買い物袋を三つぶら下げて帰宅すると言う、異例の状態の人狼を出迎えた同居人よろしく一生の恩人である痩躯の吸血鬼は、僕の帰宅が遅れた事情を全て聞き終えると深く長く息を吐き出した。
 もう既にアパートに帰って背広まで脱いでいる主へ向かって、買い物袋さえ放り投げて平伏し謝った彼に、吸血鬼はまず荷物を片付けろついでに話は晩飯を食い終わってから聞くと非常に寛大な態度と指示をしてその通りにしたのだが。
 主より早く帰ったはずなのに出迎えるどころか夕食の用意さえまだだった青年に寛容に声をかけた吸血鬼と、今の食事を終えた吸血鬼の様子は明らかに違っていた。確実に、謎が解けたはずの後者の方が浮かない顔をしておいでだ。理由は、わからない――はずもない。あの天使が原因であると察して、男は苦い顔で呻く。
「……誠に申し訳ございません、閣下。わたくしめがあの天使の策略にはまっていなければ、早々に帰宅し、いたずらに主を待たせることもなかったのですが」
「あ、いや。あいつとのことを怒っている訳ではない……ない」
「いえ、でしたら閣下。どうしてそんな、挙動不審に……」
 顔を上げ、狼狽える主に訊ねた彼にはもとよりわかるまい。この痩身の吸血鬼が、僕に降りかかった一連の出来事に猛烈な羨ましさを抱いていることなど。
 端的に語られてもかの天使と偶然接触し、猫撫で声を耳にして、携帯電話の中身を漁る機会を得て、腕を引かれ、一緒に買い物。おまけに茶にまで誘われると言う――もうあれだ。自分なら茶に呼ばれた上に部屋に上がって成り行きのまま夕食を頂戴する可能性も高い流れに、実際のところ踏み込まなかった僕を彼は心底褒め称えたい気持ちになりつつそうしなかった相手に安堵して、やはり羨ましさからそれは止めておいた。
「……ま、まああれだ。あいつの猫撫で声と言うのがあまり想像できんのでな」
「それでしたらお聞きになりますか?」
 当人としては苦しい自覚があっても言い訳を捻りだしたつもりだったのだが、人狼は素直に応じて携帯電話を取り出す。彼が天使に対してそんな疑惑を持ったように、当然この男も件の音声データは別に保管していた。相手が最新鋭の機械に疎く、またあまり他人を深く疑う性質ではないのは幸運であった。
 しかし準備のいい僕に対し、主は褒めるより舌を噛んだような顔で弾くように顔を上げる。
「は?」
「一応、あの女が消したはずなのですがサブファイルに同じものがありまして。……どうもバックアップ用として自動的に複製されるようですな。いや、便利になったものです」
 対する青年は相手からただ驚愕の眼差しと肯定の仕草だけを読み取って、立て板に水と言い訳を口にしつつ幾つかタッチパネルで操作をしてからごく丁寧に吸血鬼に携帯電話を渡した。
 まだ動揺を引きずる黒髪の吸血鬼は、渋い顔を作ったまま恐る恐る操作して、それから耳にする。あの例の、人狼からすれば蜂蜜に練乳と砂糖とキャラメルソースでも混ぜ合わせたような、聞くだけでも胸焼けしかねない甘ったるい女の猫撫で声を。
「……そ、うか」
 聞き終えた主が何を思ったのか、男は知らない。その手が震えている理由も、その目が尋常でなく泳いでいる理由も、むず痒そうともどんよりしているとも怒りを堪えているとも、とりあえず言葉には表現し難い表情を張り付けている理由も。
 暫く無言で様子を伺っていた彼の視線に気付いたのか、ありとあらゆる考えを巡らせてついに結論を得たようだ。吸血鬼は顔を昂然と上げ背筋を伸ばすと、いつもの毅然とした悪魔の姿に戻って声を張り上げる。
「フェンリッヒ、頼みがある」
「はっ。何なりと」
 これを捨てろと言うのなら主の前でデータを捨てるし――当然、これもまた別に複製データを用意してある――、これを別所に保存しておけと言うならそれはもう喜んでそうする。どんな用命であろうと柔軟に従順に対応してこそこの吸血鬼の長らくの僕だと普段から周囲に語って憚らない男は、だが。
「これをくれ」
「はっ……は?」
 こればっかりはさすがに目を剥いた。
 以降繰り広げられた主従間の、聞き苦しいやり取りは割愛する。要約すると、データだけ欲しいのならばそちらに転送するとの一点張りを貫く人狼に、吸血鬼はいやそれだけでは件のデータはお前も持っていることになるだろうし、これでお前が消したとしても何かの拍子でまた複製物があったりしたらあいつに悪いからもうこの本体ごと寄越してくれと、独占したいのか秘密を守ってやりたいのか曖昧な理屈で突っぱねて、両者一歩も譲らず。
 茶を飲む暇もなく互いの喉が枯れるまで続けられた主張は結果として、己の携帯電話の着信音がこまめに鳴っていたがどうせ出る必要はあるまいと無視し続けたのに、なかなか諦めようとしない相手にとうとう舌打ちをした吸血鬼がそれに対応してようやくの終焉を迎えた。
 しつこい電話の相手は問題の天使の女で、彼女の話す内容――今日は狼男さんを遅くまで拘束してしまったようで申し訳ありませんでした。お詫びを色々と考えたのですけど、おじゃこの常備菜かお弁当を明日にでもお渡ししようかと思いまして。どちらがいいかお訊ねしようと思ったのですけど、なんだか立て込んでいらっしゃるみたいですわね?――に吸血鬼は大いに狼狽え、携帯電話片手にアパートの玄関を出て暫く。人狼の前に戻ってきた彼の足取りはまさしく浮き足立つの表現通りで、何故かいそいそと寝る準備に取りかかり、データの始末など頭の中からすっぽ抜けたらしいと伺い知れた。
 風呂に入る前に床に入ろうとする主を慌てて止めた人狼は、直後に風呂を沸かしに行って、風呂場で肺にある全ての呼気を吐き出す心持ちでため息をつく。そうして今更肩だの足だの頭だのに強くはびこる疲労感を自覚して、やはりあの女とは深く関わらないほうがいいと改めて思い知ったのだが。
 さてその判断は、翌日昼まで彼の頭に残っているのか。結果は言わずと知れていよう。





後書き
 現パロでフェさんとアルティナちゃんとか斜め上にもほどがあるけど書きたいものを書きますんで!
 お互いの携帯の中探りあうシーンとか予想以上にキャッキャウフフになっちゃってこれカップリングって思われない!? と変にはらはらしておりました。そりゃ閣下もギギギする。

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ネモ----(゚∀゚)----ッ!!

2011/10/13

 速報を聞いたときに顔文字使うくらいのテンションになってしまったのはやむを得ないと思います。けど人型なのかプリニーなのかどっちなのか全然わからなくてモヤモヤして発売日当日までその辺り全裸待機気分で待っておこうと思ったら人型でもう、もう…!
 と言う訳でフーデス編ネモ加入決定ばんざーい!! パパンもばんざーーい!! ついでに閣下ラスボスとかそんなんじゃなく結構すぐに仲間になるっぽくてそれもばんざーーーい!!!
 アルティナちゃんが仲間になるのは強盗指南ってのは確定してるけど閣下はどんな理由から仲間になるんじゃろーと今からちょっと期待。前回の雑誌掲載スクショじゃフェさんとアルティナちゃんが仲間になってても閣下はいなかった気がするけど、じゃあ主従二人まとめて加入とかそんなんじゃないのかしらん? 気が付いたら僕も嫁もしないし! じゃあもう俺も仲間になる! って感じだったらぼかぁもう。まあどうせフーカすんが転生する気になったって聞いて「そんなら手伝ってやんよ!」って感じなんだろうなー。もしくは実力行使で強制参加ルートとか。それよりもフェさんが単身仲間になる展開のが想像できんわ。
 つか次回予告スクショの酷さよ…日本一ちゃんってあんなカップリング的にツッコミ待ちするような子だったかいそれともフーカすんの性格を反映した結果かい。つかフーカすんも内心「あれはないわー」って思ってたりしないかい。
 個人的にはフーカすんのカップリングは閣下以外ならスキニナサーイです。ニア百合(アルティナちゃん)ガチ百合(デスコ)おねショタ(エミちん)TKJップル(フェさん)、全体的にフーカさんらしくさっぱりした味付けで頂けるならそんでいい。閣下とはバカ兄妹っぽく漫才やってるくらいで。蜂蜜級にアンマーイのはどんなんであろうともフーカさんには合わないと主張し隊。とは言えどチョコレート級ほろ苦恋愛もあんまり似合わないと言うか。どうでもいいけどフーカすんミルクチョコ派だと思う。デスコはホワイトチョコ派だと思う。そんでアルティナちゃんは甘味と言えば果物派だと思う無花果とか桃とか杏とか。
 つーかネモまさかの追加DLC形式じゃなくしかもプリニーネモじゃなく人型でストーリーに絡みつつ仲間になるだなんて……。
 閣下、暴君加入んときは完全にオマケスタイルでストーリーにも今後絡みないからまだ救いがあったけど今度こそ焦らなきゃいけないような気がするのは気のせいかな? 何せ四百年間アルティナちゃんが自分を差し置いて気にし続けてきた人物だし、人型で仲間になられでもしたら無防備なアルティナちゃんはおじさんの「積もる話もありますし、また夜中にでも二人でお話しましょう」ってお誘いでさえ考えなしに受け入れそうな気がしないでもないよ閣下。どうすんの閣下。ちゃんとガードできんの閣下。ねえどうすんのねえ閣下。男見せろよ今度こそ…!(意訳:プロポーズしろ)
 本編中ネモと閣下が主人公とラスボスとしても、その裏ひとりの女性を四百年前から慕っていたものとしても争い合っていたのは最早紛れもない事実でありますが、その女性は世界を滅ぼそうとするほうを必死に止めようとしていた辺り、閣下はきっちりネモに嫉妬していたんじゃないかなー。て言うか、当初閣下はネモのことアルティナちゃんの婚約者とか恋人だと思ってたりしたと思うんですよ。
 十話でネモとの確執について問い詰めないんですか?って聞いてきてもやんわり対応したり、「あいつの過去の事情なんて知ったこっちゃねえ」的なこと言ってた辺り、真相が過去にあると知っていてもネモとアルティナちゃんの関係をあまり聞きたくなかったんでないかなと。それでついにネモがアルティナちゃんが殺された切欠の軍人と聞くことで、それまでの態度を一変させてるような印象を抱いたんですよね。勿論、ネモが立て続けに酷い目に遭った末にそんな自分を救ってくれたアルティナちゃんまで自分のせいで殺させしてしまった不幸な人間だから同情を示してるって部分もあるにはあるんでしょうけど、これで二人が恋人としての関係を築いていたなんて展開だったら閣下あそこまで大人な対応できたかなー? と多少疑ってしまう訳で。
 アルティナちゃんが好きなのは幸い閣下だったけど(つーか自分のために世界滅ぼすなんて人は普通の感性だと退くだけで正味好きにはなれんわな)、これでアルティナちゃんが脈ナシだったりしたらマジで閣下涙目なんてレベルじゃないほどぺっこり凹んでたんだろうなーと思うともう憐れで憐れで。二次だから好き勝手にいじめてるけど、アルティナちゃんと閣下それぞれが浮気したりよそに気を持つのは結構本気で耐えられないんじゃよ……それだけでじわじわダメージ来るんじゃよ……。
 とりあえず長くなりましたけどフーデス編期待してます! さーあとは過去ティナちゃんだけだね! 四百年後の世界から暴君と同じようにやって来た堕天ティナちゃんよろしく母ティナちゃんでも全然いいけどね! 

 以下お返事です遅れまして申し訳ありませんー!

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あー眠い眠い

2011/10/26

 すぐに書くのどうかと思うので今の今までPS3と向い合ってましたがまあ一言。自慢です。ええ、自慢ですとも。


 フーデス編フラゲしました。今3話です。
 あれだ。アルティナちゃんの台詞は多いよ! その点だけは安心していいですよ!
 ちなみにサントラには裸レクも収録済みだぜヒャッハー! しかしフル版とかなくて一番だけだったぜー!


 あークリア後に詳細な感想は上げますが、最大にして衝撃のネタバレを一つ。いや二つ。


 ニーノに声がつく。
 虹レンが揃う。

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とりあえず何から書くべきか

2011/10/26

 ここ数週間ちいとも出てこなかった理由と致しましては、平たく言うとPS3のセーブデータが破損したのでフーデス編のために大急ぎでやり直してクリアしたのはいいものの、ニコ生のフーデス編で1-1ステージの雑魚プリニーのレベルが780とか見えてヒィッてなったのでまた大慌てで鍛えていたらやっぱりそんなレベルまで無理であーんもーって身悶えしながら昨日某ゲーム屋に寄ったら見事売ってたのでもう詰むかもしんないけど買っちゃえーってテンションの高さで限定版お救いしたってうんまあ長いね。
 ちなみにそんな調子ではありますが一応書くことは書いてます。フーデス編終わって一段落したから今週末からようやくがっつり書ける感じだわー。

 ……まあ本編のほうは通常版買った人間なんで限定版を買うのはこれが初めてでしてね。一言言いたいんですがあれ、箱でかくね? しかも開封したら空きスペース超多いし、もっとコンパクトにまとめられそうじゃね?
 PS2時代の限定版パッケくらいの大きさでいけると思うけどなあ……ちなみに箱は開封してすぐぺしゃんこに潰しました。うん、果てしなくどうでもいいな。

 とりあえず誰も傷付かないネタバレとしてはサントラになるのかなーぱぱっと書いていきましょうか。

・みもりんボーカル曲はなんと言うか懐かしい……。てんぺーさんマジ歌謡曲調好きだな。
・拠点曲はサディスティックエロス。ディスガイアの雰囲気かこれ? って疑問は抱きますが結構好きです。しかしフーデス姉妹こんなバブリー(古語)なエロさないじゃん!
・裸レク収録で万歳三唱。だが拠点曲と言い、ループスタイルじゃなくて一番二番の歌詞付きで聴きたかった…。
・エンディング曲。異様にダセえ! しかも長い! 狙ってるんだろうが歌詞もコーラスも含めて80年代アニソンかそれより以前の空気が漂い過ぎててむせる。けどこのダサさはある意味中毒だわーなんつーか足の爪の臭いと同じ。フェさんとか閣下の中の人たちに歌ってほしい(罰ゲームとして)。

 あと以下は攻略面(ステージ数、仲間)でのネタバレ。要反転。
・1話につき4ステージ編成。4*4の16チャプター。全部にイベントあり。
・基本的にその話が終わったら過去のステージには行けません。
・オールクリアで一気に選べる。再挑戦しても汎用敵は変わらない。各話ボスだけいなくなる。
・敵のランクは1話通しで上がらず、次の話で一つ上がる感じ。最終話だけそうじゃなかったかな?
・本編からフーデス編に行くときだけ最初からやり直し可能。
・敵の強さリセットかけたからか、私の場合、後日談はフロンちゃん仲間にした段階で1-1プリニーのレベルは90代。
・2話OPでエミちん加入、3話OPで主従加入、3-3終了でアホ加入。
・1話クリアご褒美に界賊船。2話クリアご褒美にハゴス加入、3話クリアご褒美にネモ加入、4話クリアご褒美にデスゼット加入。


 さてでは以下からフーデス編感想です。プレイしながら書いてたから全く説明なんてする気に満ちてないのでやりながら読んだほうがいいかも! つまり明日読む代物じゃねーか!
 当然ネタバレしてますんでお気をつけて。

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発売当日総合感想とか酷いよね

2011/10/27

 趣味の悪さは自分でも理解しています。
 けどなー……フーデス編って本編後の補完ではあるけどオチとしてはパラレルだから、今後あれを下地に二次やるよ! となるかは今のところ不明ですわ。まあネタはあるんだけどね(あるんだ)。

 以下総合的な感想です。当然ネタバレ。あとアルティナちゃん寄りの気持ち悪い感想も。

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・言えるはずがない

2011/10/28

 フーデス編で二次やるかはどうかは別としてフーデス編で判明したりするアルティナちゃん関係はとても美味しかった…。

※フーデス編ネタバレ前提注意。

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